記念年に先駆けて、ワルツ曲『美しく青きドナウ』と映画『2001年宇宙の旅』にまつわる短編ドキュメンタリーを公開
1825年にウィーンで生まれた作曲家ヨハン・シュトラウス2世は、来年2025年に生誕200周年を迎えます。ウィーン市観光局はこれを記念して2025年の観光スローガンを<ワルツの王、音楽の女王>とし、シュトラウス2世の音楽とウィーンの文化遺産を紹介する取り組みの一環として、欧州宇宙機関(ESA)と共同制作した短編ドキュメンタリー『スペース・アンセム』をYouTubeで公開しました。
『スペース・アンセム』キービジュアル
- 動画『スペース・アンセム』 https://www.youtube.com/watch?v=l-7HpEZa5yo
※日本語字幕が自動再生されない場合は、字幕設定を日本語にしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=l-7HpEZa5yo
『2001年宇宙の旅』に登場した『美しく青きドナウ』
シュトラウス2世の作品の中でもっとも有名な『美しく青きドナウ』は、オーストリアで“ドナウワルツ”と呼ばれて第2の国歌として愛されてきましたが、1968年のスタンリー・キューブリック映画『2001年宇宙の旅』の冒頭で宇宙船が浮遊するシーンに採用されると、その強烈な印象によって宇宙の讃歌、すなわち“スペース・アンセム”としてのイメージが浸透しました。その後2001年にスペースシャトル・ディスカバリーが国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした際にも再生されたことで、<美しく青きドナウ=宇宙>のイメージはさらに強化されました。
今回公開した6分間のドキュメンタリー『スペース・アンセム』では、キューブリック監督の助監督であるブライアン・W・クック氏、ウィーン放送交響楽団首席指揮者マリン・アルソップ氏、『シンプソンズ』の作曲家カーラ・タルヴェ氏、欧州宇宙機関(ESA)の予備宇宙飛行士カルメン・ポスニグ氏、シュトラウス2世の後裔エドゥアルト・シュトラウス氏といった専門を異にする人々が登場し、それぞれの視点から見たシュトラウス2世の音楽と宇宙とのつながりを語っています。
ウィーン市観光局長のノルベルト・ケットナーは、「『2001年宇宙の旅』で、宇宙船がドナウワルツの三拍子に合わせて宇宙を漂うシーンは、映画史における重要な瞬間でした。このシーンによりドナウワルツは無重力の象徴、宇宙の賛歌と認識されるようになりました。我々が来年の観光テーマ<ワルツの王、音楽の女王>の予告編として制作したこのドキュメンタリーは、シュトラウスの音楽が現代にまで与えつづけている影響を示しています」と述べています。
2025年観光スローガン<ワルツの王、音楽の女王>
650年におよぶハプスブルク帝国の末期に活躍したヨハン・シュトラウス2世は、生前から“ワルツの王”や“ウィーンのもう一人の皇帝”と呼ばれるほどの人気を誇りました。ウィーン市観光局はその生誕200周年を祝うにあたり、音楽の都ウィーンをシュトラウス2世の“女王”と位置づけました。シュトラウス2世が愛しインスピレーションの源としたウィーン、そしてモーツァルトやベートーヴェンなど他の都市や国で生まれた芸術家もこぞって拠点を置いたウィーンの歴史的・音楽的価値を紐解き、現在も街中の劇場で毎晩1万人を魅了する“音楽の女王”の魅力を全世界に発信します。
<ワルツの王、音楽の女王>公式サイト
<ワルツの王、音楽の女王>キービジュアル (C) WienTourismus/ Julian Lee Harater
主な生誕200周年記念事業:
- 特別展『ヨハン・シュトラウス』:ウィーン演劇博物館にて、2024年12月4日~2025年6月23日。
- 特別展『シュトラウス&ベーゼンドルファー』:ウィーン楽友協会内ベーゼンドルファーサロンにて、2024年9月1日~2025年8月30日。
- 記念コンサート:ウィーン楽友協会やウィーン・コンツェルトハウス等で一年を通じて多数予定。
ウィーンのヨハン・シュトラウス2世関連スポット:
- ウィーン市立公園の黄金のシュトラウス像:ウィーンでもっとも有名な撮影スポットの一つ。
- ハウス・オブ・シュトラウス:2023年10月にオープンした記念館および音楽ホール。もとは上流階級の社交場で、シュトラウス本人も演奏した。
- ヨハン・シュトラウスの住居:1860年中頃から1870年まで住んでいた家(ウィーン2区Praterstraße 54)で、現在は記念館。『美しく青きドナウ』はこの家で作曲された。
- シュトラウスの墓:ウィーン中央墓地名誉地区32A-27に位置。
- ヨハン・シュトラウス・ニュー・ディメンションズ:2024年11月にオープンしたイマーシブ型ミュージアム。
ヨハン・シュトラウス2世とは:
1825年10月25日、音楽家の父ヨハン・シュトラウス1世のもとウィーンで誕生。作曲の才能に加えカリスマ性やビジネスの手腕にも恵まれ、ウィーナー・ワルツというジャンルを広めた。生涯で約500曲のワルツやポルカ、オペレッタを作曲。代表作は『美しく青きドナウ(1867年)』『ウィーンの森の物語(1868年)』『こうもり(1874年)』『皇帝円舞曲(1888年)』など。1899年没。
シュトラウス像 (C) WienTourismus/Gregor Hofbauer