おとめ座
愛とむきだし
むきだしの命
今週のおとめ座は、「むきだしの命はねたり青がえる」(小沢昭一)という句のごとし。あるいは、劇的なまでの内なる衝動の躍動をどこか楽しんでいくような星回り。
人間やほかの動物たちが毛皮やうろこなどで身を包んでいるのに対して、蛙は生涯にわたって裸一貫。そんな蛙だからこその一句だが、それにしても裸の動物であれば他にもいるのに、蛙ほど可愛らしい存在は見当たらない。
人間にしたって、「むきだしの命」と言えるのは、赤ん坊や子供くらいのものだろう。したがってこれは、簡単にはむきだしになれない大人の蛙に対する憧れの句とも言えるが、考えてみれば大人だってやり方によっては、むきだしになれる瞬間というものはある。
ご飯を食べることだってそうだし、誰かに愛情を告げたり交わすときだってそう。
普段ルーティンとしてこなしている、ひとつひとつの日常シーンの中に、自分の命を賭けられる瞬間を見つけられるかを今週は問われていくことになるでしょう。
「いかに人を愛しうるか?」
なぜ人は傷つくことがあってなお、誰かを愛そうとするのか?
それは、生きていくモチベーションを自分ひとりだけで持ち続けるのは困難だから。難しいことはさておいて、今週はこれからも生きていくため、いかに人を愛しうるかということが問われてくる時なのだとも言えます。
「われわれは生きて肉体のうちにあり、いきいきした実体からなるコスモス(大宇宙)の一部であるという歓びに陶酔すべきではないか。眼が私のからだの一部であるように、私もまた太陽の一部なのである。」(T・H・ロレンス『黙示録論』)
一般的には『チャタレー夫人の恋人』の作者として知られるロレンスがテーマにしたのは、近代社会の狭くせせこましい道徳の中でがんじがらめになった生命力を、偽善の拘束から解き放つことでした。
すなわち、「いかに人を愛しうるか?」という大テーマは、今週「いかに生命力を偽善の拘束から解き放ちうるか?」という形で問われていくでしょう。
今週のおとめ座へのキーワード
『チャタレー夫人の恋人』