おとめ座
内面の攪拌
カッコウの響き
今週のおとめ座は、「川上に北のさびしさ閑古鳥」(岡本眸)という句のごとし。あるいは、内面の動きへの気付きを踏まえ、未来へ向けて意識を整えていくような星回り。
「閑古鳥」とは、初夏の野山でどこか哀愁を誘るような鳴き声で親しまれているカッコウの別称。
掲句では、そこに澄み切った青空や白い入道雲、そしてそれらを川面に反射させキラキラと光っている川の流れが添えられることで、とろけるような感傷世界が立体的に映し出されています。
そして人はそうした感傷の底に、心のどこかで気付いてしまっている未来への予感や漠然とした確信を隠し持っている。
そういう意味では、もしかしたら作者は、清冽な五月の明るい野山の中に、限りあるいのちの哀しさや、やがて訪れる運命の残酷さを感じとってしまったのかもしれません。
そんな作者同様、今週のあなたもまた、ふとした気付きをきっかけに自分に訪れるであろう未来の輪郭を、確実につかんでいくことでしょう。
沈殿物を浮かばせる
まず目を閉じて、今の自分の日常をぐるりと見回してみてください。そこにあるのは喜びや楽しさや、満ち足りた気持ちだけでしょうか?
むしろ、焦り、怒り、嫌悪、反発、哀しみ。様々な不純物が、まるで水底に沈殿する澱のように次から次に顔を浮かんでくるはず。
今週のテーマは、気持ちや記憶の奥底に立ち返って改めて自分自身をかき混ぜていく、という風にも言い換えられます。
きれいすぎる川には魚が棲みつかないように、沈殿物がまったくない人もいないのです。また、恐れを持ってしまうのも人として当然です。自分らしい未来へ向けて、ゆっくりと丁寧に自分の内面をかき回していきましょう。
今週のキーワード
さびしさ