おとめ座
そっと寄り添う
今のおとめ座:三鬼とワシコフ氏
今週のおとめ座は、「露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す」(西東三鬼)という句のごとし。あるいは、隣人や友人などと、どこか家族のような関係性を作り出していくような星回り。
作者の状況説明には次のように記してある。
「ワシコフ氏は私の隣人。氏の庭園は私の二階の窓から丸見えである。商売は不明。年齢は五十六、七歳。赤ら顔の肥満した白系露人で、日本の細君が肺病で死んでからは独り暮らしをしている。」
叫んで小石でも投げていたのだろうから、食べるためではあるまい。ストレス発散だろうか。そんなワシコフ氏の奇矯な振る舞いを、2階から見つめ、それを句にしている三鬼氏。2人の表情との対比には可笑しさを誘うと同時に、根源的な寂しさがじわりと滲み出してくる。
思えば三鬼氏も東京に妻子を捨てて神戸に移住した人であったから、ワシコフ氏はどこか自分と通ずるところがあると感じていたのだろう。
今週のおとめ座もまた、単なる他人とは思えない誰かの存在がそっと自分に寄り添ってくるのを感じるでしょう。もちろん、決して交わることはないかもしれない。それでも誰かを求めてしまうのが人間の哀しさだろう。
おとめ座へのアドバイス:ずっとそこにあった自然
少なくとも今週は、未知の領域から未来の恋人や新規の興奮材料を探そうとするのは避けること。
むしろふつうの物事や、ありふれた日常の中にこそ、インスピレーションや情熱の源泉は潜んでいるのだということを意識する必要があるように思う。
あるいは、過去をしっかりとくぐっていくことを通じて、心を開ける相手やそんな相手に向き合う喜びは見出されるのだとも言える。
おとめ座 今週のキーワード
似た顔のふたり