
おとめ座
不意に別人になっていく

静かなる地殻変動
今週のおとめ座は、ヘブライ語の「ヒトハレフ」という語のごとし。あるいは、霊的・感情的乾燥の危険から脱するべく、自己の新しい在り方を純粋に熱望していくような星回り。
日本語の「変わる」という言葉をヘブライ語では「ヒトハレフ=入れ替わる」といい、頭のHTは再帰動詞を示す接頭語で、語幹のHLCh(ハラフ)は「過ぎ去る」という動詞。
これは長い乾期が過ぎ去ると、その後に雨期が来る。その入れ替わりの中で暮らす砂漠の民の感覚が関わっている言葉と言えますが、聖書には関連語のHFCh(ハファフ=ひっくり返す、逆の状態にする)という言葉が多く使われており、例えば旧約聖書には次のようにあります。
暗黒を朝に変え、昼を暗くして夜となし、海の水を呼んで、地の面に注がれる者。その名を主という。(アモス書5・8)
「地の面に注がれる」とは生存に不可欠な水をもたらす、すなわち、そのままでは飲むことのできない海水を反対の状態へとひっくり返すという意味であり、暗黒を朝に、昼を夜に変えることと同じく、それこそが主のなされる業であるとした訳です。
人生においても、時にこうしたひっくり返しや入れ替わりが起きることがあり、何かが自分に決定的な変化をもたらすとき、人はそれを運命の介在と見ることが少なくありません。ヘブライ語の「ヒトハレフ」や「ハファフ」というのも、まさにこうした人間にもたらされた神がかり的な変異のことをいったのかも知れません。
4月18日におとめ座から数えて「見えない場所」を意味する12番目のしし座へと火星が移っていく今週のあなたもまた、どこかでそうした「ひっくり返し」や「入れ替わり」が促されていきやすいでしょう。
悪い夢こそ味方につける
なんとなく車の後部座席に乗っていて、ハッと運転席を見ると、自分の嫌っているあいつ、心から憎んでいる相手が運転していた。そういう夢をみたことはある人は少なくないはず。
こうしたビジョンは、自分が生きてこなかった半面である「影(シャドー)」の典型的なイメージと言われていますが、ある意味で、創造的な芸術家が経験するひらめきや気付きというのは、そうした自分の中の嫌な部分、認めなくない側面とどう向き合っていけるかに懸かっているのだとも言えます。
ただし、だからとって今週あなたが急にいい人になる必要はありません。そうではなくて、ああ自分のすぐ横で、嫌な部分、認めたくない側面の自分が意識のハンドルを握って運転していることもある。そういうこともあるのだと、なんとなくてでも分かりながら、やっていけるかどうか。
聖書に登場するような預言者であれ無名の芸術家であれ、ひらめきを何かしら「ひっくり返し」や「入れ替わり」へと生かしていけるかどうかを分けるのは、そういうほんのちょっとした在り方の違いに他ならないはず。今週のおとめ座もまた、そこを少なからず試されていくことになるでしょう。
おとめ座の今週のキーワード
自分の「生きられなかった反面かつ半面」を受け入れる





