おとめ座
質素と叡智の深い繋がり
質素な生活の力強さ
今週のおとめ座は、「ストーヴの小(ち)さき煙突小書斎」(高浜虚子)という句のごとし。あるいは、質素さに立ち返っていこうとするような星回り。
作者が76歳のころの作。小ぶりな書斎に、小型のストーブが設えてある。煙突の造作もまた小さい。ただそのことだけを詠っているわけですが、これは作者自身のことというより、ある種の小説的な材料を取り扱った句なのでしょう。したがって、そこでどんな仕事がなされているのか、書斎の主はどんな人で、どんな風に暮らしているのか。すべては読者の想像に委ねられています。
ただ、良寛さんの遺した「行じ難きをよく行じ忍び難きをよく忍ぶ」という言葉のように、質素な生活のなかでどんな不便や窮乏に負けない忍耐力を身につけることこそが真の修行であり、そうした質素さこそが本当の意味での叡智を含んだインスピレーションの源にもなっていくということを、作者はどこかで分かっていたのではないでしょうか。その意味で、掲句は作者の理想であり、このようにありたいと願った境地をさりげなく示そうとしたのかも知れません。
11日におとめ座から数えて「生活環境」を意味する6番目のみずがめ座で上弦の月(行動の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、忘れていけない美学や流儀を大切にしていくべし。
人間世界を見つめる動物のように
虫や動物の能力を考えるとき、どうしても人間は人間以外の生物を自分より下に見てしまいがちですが、たとえばハトには1000キロ以上離れた見知らぬ土地から帰ってこられるスキルや、1200枚のスライドを覚える高度な認知能力があることが近年新たに分かってきたのだとか。
いわく、長らくほ乳類特有のものと考えられてきた大脳新皮質に相当する働きをする"外套”と呼ばれる領域が鳥の脳にも含まれていたことが発見され、それとともに動物や脳の基本的デザインを同じくする魚類や両生類、爬虫類などにも、彼らなりの"心”が存在し、そこには人間が想像だにしていなかった豊かな可能性が広がっているのではないかと見られ始めているらしく、例えば、魚類や爬虫類のストレスの感じ方や、神経ネットワークの働きからハエにも意識があることを解き明かす研究もすでに開始されているそう(藤田和生『動物たちは何を考えている?動物心理学の挑戦』)。
今週のおとめ座もまた、自分が人間社会に対していかに貢献し、何をするべきで、何をすべきでないか、改めて見つめ直してみるといいでしょう。
おとめ座の今週のキーワード
"思い”をすくいあげる