おとめ座
条件付きの関係から離れて
星が僕を見つける感覚
今週のおとめ座は、ある航空管制官と夜の闇のごとし。あるいは、夜という時間だけが育むことのできる想像力をしずかに養っていこうとするような星回り。
まだ夜間の飛行が命がけだった時代、郵便事業に命をかけた者たちを描いた文学作品に、サン=テグジュペリの『夜間飛行』があります。主人公は「嫌われ者の上司に睨まれることで初めて現場の規律は保たれる」という信念のもと、部下に1つのミスも許さない厳しい姿勢をとる上司であり、欧州から南米間の航路を受け持つ責任者であるリヴィエール。
彼は内心の葛藤や孤独に苦しみつつも、それを紛らわすために繰り出した散歩からの帰り道、ふと見上げた夜空の星に何かを感じ取ります。
「今夜は、二台も自分の飛行機が飛んでいるのだから、僕はあの空の全体に責任があるのだ、あの星は、この群衆の中に僕をたずねる信号だ、星が僕を見つけたのだ。だから僕はこんなに場違いな気持ちで、孤独のような気持ちがしたりする」
人間にとって夜とは、ある意味で死に近づいていく時間帯であり、だからこそ夜の底に埋もれた宝物を見つけていくことで、改めて生を更新していく契機でもあるのでしょう。
そして、7月28日におとめ座から数えて「セルフケア」を意味する6番目のみずがめ座に逆行中の木星が戻っていく今週のあなたもまた、他の誰かのために割かれる時間だけでなく、純粋に自分自身のいのちを養うのための時間を確保していくことをどうか大切に。
世俗の言葉はいらない
コミュニケーションには、契約書や裁判のやり取りなど話の中身が第一に考えられねばならないケースがある一方で、話をしている者同士が存在してくる背景やその抒情性こそが問われていくような場合もあるものですが、今のあなたはおそらく後者の方を大いに必要としているはず。
そしてそれは「同じ話をするのでもこの場所ですればより効果的!」とか「デートで相手を落としやすいお店」いったような、分かりやすい効果を狙ったテクニックや、くだらない駆け引きのためにシチュエーションを利用せよ、といった話とは対極のもの。
そうした「私」を主体としたコミュニケーションではなくて、その背後に隠れた「背景」にこそ語ってもらうことで、互いの関係性の中に言葉にはできないような特有の雰囲気が取りこまれていき、その結果としてムードが出来上がっていくのです。
今週のおとめ座はそうした無言のやり取りを味わいつつも、人と人、人と事物とが縁や絆を結んでいくことのリアリティーを存分に感じてみるといいでしょう。
おとめ座の今週のキーワード
背景からの語りかけ