おとめ座
霊的なものとの折り合い
こちらは4月12日週の占いです。4月19日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
自分の人生に欠けているもの
今週のおとめ座は、「春雨に大欠する美人哉」(小林一茶)という句のごとし。あるいは、いたずらに何かになろうとするよりも、こうでありたくはないという側面を減らしていこうとするような星回り。
この句に限らず、一茶の句に出てくる女性は、どうも色気が少ないように感じます。長い独身生活のせいかとも考えられますが、結婚後に詠んだ句も大して変わりがないので、もう根っからのことなのでしょう。
掲句にしても、ひとりの人間から滲みだす色気にフォーカスするというより、女のいる風景全体の情感というか、哀憐のようなものを感じさせます。
一茶はどこか女性を性悪で、あわれな生き物として客観視するところがあったのではないでしょうか。実際、五十を過ぎて家を構え妻をめとるまで、本当に愛恋を感じた人もいなかったようです。
あくまで推測の域を出ませんが、それはやはり継母と折り合いが悪く、幼くして郷里を離れたことが彼の女性観に大きく影響していったのかも知れません。
12日におとめ座から数えて「影」を意味する8番目のおひつじ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、一茶よろしく、自分のこころに差し込んでくる暗い影をじっと見つめてみるといいでしょう。
秘密と予感
何か大事なことが解りかける時というのは、人はすべからく孤独なのではないでしょうか。つまり、安易な交わりで誤魔化してしまうことが間違ってもないような、怜悧な空気のようなものを肌で感じている時に初めて、これまで見えなかったものも見えてくるのではないか、と。
この点について、心理学者のユングは最晩年に出版された『ユング自伝』において、次のように言及しています。
われわれがなんらかの秘密を持ち、不可能な何ものかに対して予感を持つのは、大切なことである。それは、われわれの生活を、なにか非個人的な、霊的なものによって充たしてくれる。それを一度も経験したことのない人は、なにか大切なことを見逃している
ユングからすると、魂の幸福とは、どこかの時点で自分だけの秘密にならざるを得ないものであり、真の意味で心地よく生きていくということは、恐らく何らかの形で「なにか非個人的な、霊的なもの」との折り合いを予感していくということだったのです。
おそらく、暗い影をはっきり目にすることができるのも、そんな時なのでしょう。その意味で今週のおとめ座は、世間的基準とは異なる「魂の幸福」へのきっかけを掴んでいくタイミングでもあるのだとも言えるかも知れません。
今週のキーワード
不可能な何ものかに対しての予感