おとめ座
家具いらなくない?
和風の快感
今週のおとめ座は、さながら家具のない暮らし。あるいは、人生から乱調をなくしていくための一工夫。
無政府主義者の大杉栄はかつて「美は乱調にあり」と喝破しましたが、これは「カオス」という言葉の語源にこの世の始まりの姿である“深淵”という意味もあることを考えれば、一種のノスタルジー趣味と言えるのかも知れません。
ひるがえって、そうしたノスタルジーを粉砕していかんとするのが、簡素さやごまかしのないことを尊ぶおとめ座の本質であり、現代社会においてそうした本質を体現していくためのシンプルな方法として、和室に住むことが挙げられます。
日本では、なぜか2階以上の集合住宅で鉄筋コンクリート造りの建物をマンション、木造の建物をアパートと呼ぶ原則があって、木造アパートには貧乏で古く汚いイメージがついてまわっているように思います。
しかし、木造は内装もシンプルかつ伝統的な和室であることが多く、鴨居のある畳の部屋があって、ふすまの付いた押入れがあれば、特にソファやベッド、机や椅子などの大げさな家具はいらず、布団とちゃぶ台が一つずつあればそれで生活が事足れてしまうもの。
こうした家具のない暮らしというのは、和室でしか味わえない特有の快感なのではないでしょうか。
15日におとめ座から数えて「居場所」を意味する4番目のいて座で今年最後の新月を迎えていくあなたもまた、いつもより少し目線を低くして、地べたにゆっくり腰を下ろせるような時間を大切にしていくべし。
余剰を研ぎ澄ます
この世界というのは、いかなるとき、いかなるところであっても、何らかの矛盾や違和が必ず起きてくる場所であり、綺麗にストンと予測通りに事が進むということはまずありえません。逆に、そうでなければ宇宙は静的な完成到達点へとっくに達していたでしょう。
生命や人生が現に示している事実は、霊と物、意味とカタチが決して完全には調整されておらず、これからも不確かな未来はまったく別様にも代わり得る。そう信じているからこそ、不確定性が紛れ込む余地として、「やり過ぎ、言い過ぎ、夢見過ぎ」という三大余剰こそが変数となって、この世界は変わっていけるのです。
逆説的な話ではありますが、言葉をそぐ時にこそそうした自分の中の余剰が明らかになってくるのだと思います。今週はそれくらいのつもりで、他の人からすれば意味不明なこだわりへと、自信を持って邁進されていってください。
今週のキーワード
インテリアよりもインテリジェンス