おとめ座
赤ん坊に枠はない
ぶらぶらの効用
今週のおとめ座は、ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』のごとし。あるいは、効率性や計画性とは無関係なところで何かを始めていこうとしていくような星回り。
この小説は、1940年代から50年代のアメリカを舞台とし、作者が自らの放浪体験を元に書き上げた自伝的作品であり、目的もなくぶらぶらすることが大の得意だった世代への賛歌です。
登場人物はみなろくな計画を立てないうちに、いきなり出発するし、何か起こるたびにやたらと何かを叫んでいます。
サルとディーンとディーンの新妻メアリールーは、「なんでも好きになり」、見つけたものが何であれ、「その狂乱の渦」に巻き込まれたいと思い、デンバーやシカゴやニューオリンズやその他行く先々で、そこにいる人々がやっていることをします。
なぜかと言うと、彼らはいつも、こんな具合に出発するから。「そこへ行って何をするんだい?」「さあ、知らないね、なんだっていいさ」。そしてあとから、自分が何をしているのか気が付くのです。
6月21日におとめ座から数えて「枠の外」を意味する11番目のかに座の初めで、日食と新月を迎えていく今のあなたもまた、そんなサルとディーンたちをぜひ見習ってほしいです。
おとめ座の人たちはともすると「タスクリストに書いたことは全部こなしたけれど、自分の枠の外へ出て何が起こるか試したことは一度もない」といった事態に終始しがちだけれど、今回の日食新月はそうした流れを打ち破る絶好のタイミングと言えるでしょう。
童心に帰る
「ようやく子どものような絵が描けるようになった。ここまで来るのにずいぶん時間がかかったものだ」
というのがピカソの最晩年の言葉だったのだとか。そう聞くと、ピカソという人は子供のようにただただ絵を描く喜びの中にいることのできた人だったのでしょうね。
あなたが最近そんな純粋な楽しみを味わったのはいつでしょうか?そしてそれは最高の満足と比べてどれくらいの満足度でしょうか?
赤子が全身で母親の乳を吸い、眠くなればその胸で寝てしまうように、今週のおとめ座は、どれだけ何の衒いもためらいもなく自身の生を謳歌していけるかが鍵となってくるはず。
まずは自分心臓の鼓動を感じ、その高鳴りのままに何かを始めてみることです。
今週のキーワード
無限大に広がっていく身体性