おとめ座
わが通過儀礼
ユーミンの場合
今週のおとめ座は、ユーミンの「中央フリーウェイ」という歌のごとし。あるいは、身の周りに起こっていく変化を肯定していくような星回り。
1976年に作られ、「荒井由実」名義としては最後の曲となったこの曲は、70年代の大都市で暮らした人たちの感性を代弁する曲とされています。
いわゆる学生運動が盛んだった60年代が終わり、「新人類」という言葉が生まれた70年代は、日本の経済発展の象徴であった中央自動車道が全線開通されていったタイミングでもあり、調布方面から八王子方面へと車を走らせると見えてくる景色をそのまま歌詞にしたのがこの曲でした。
「中央フリーウェイ 調布基地を追い越し 山に向かってゆけば 黄昏(たそがれ)が フロント・ガラスを染めて広がる 中央フリーウェイ 片手で持つハンドル 片手で肩を抱いて 愛してるって言ってもきこえない 風がつよくて」
この歌は、自分の感じていることを外から見ている、軽やかな自己相対化の感覚で歌われた曲であり、それがいい意味で都会的で効いていたように思います。
16日(日)におとめ座から数えて「移り変わり」を意味する3番目のさそり座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、自身の日常世界の変化を追っていきたいところです。
世の中という名の緞帳をくぐる
人間は「我」を消滅させまいとして、さまざまなことを行います。
銅像を建てる人もいれば、本を書き遺す人もいるし、名を残すために苦労を重ね、逆に悪名を轟かす人もいるわけですが、そろいもそろって自分という存在が消滅していくことを恐れている訳です。
死ぬということは決してそう厭なばかりではないけれど、自分の消滅ということはみんな嫌なんです。
ただ、それが嫌というだけで生きていると、今度は自分が生きているうちにすべきものが見えなくなっていく。これもまた、緩慢な消滅と言うべきでしょう。
ユーミンの「中央フリーウェイ」は、13歳のデビュー当時からプロデューサーをつとめてきたかまやつひろしのために書いた楽曲とされていますが、それは自分が生きているその“内”側を“外”から見つめ直すための通過儀礼だったのかも知れません。
その意味で、今週はおとめ座のテーマもまた、自分がまだ生きているうちにすべきことを明確にするためのひとつの儀式を行っていくことにあるのだとも言えるでしょう。
今週のキーワード
身辺整理