おとめ座
向き合うべきもの
仏師の仕事
今週のおとめ座は、「冴え返る鼻おさへ行く仏師かな」(山口燕青)という句のごとし。あるいは、真に重きを置くべきところに時間を割いていこうとするような星回り。
作者は昭和の時代に生きた仏師で、その句によく鼻が出てくることでも知られていました。実際、作者の鼻はたくましく大きくできていたそうですが、それは力の内側からの盛り上がりが強い線とともに刻まれた仏像の鼻とも重ねられていたのかも知れません。
つまり、自分がつくり出す作品こそが自分の顔に他ならず、息をするたびに冷たい空気が通り抜ける冬にこそ、そうした自覚を深めていったのではないだろうか、と。
それが平成だろうと令和だろうと、立派な人間に仏師がいれば立派な仏像ができるのだと思います。
同時代の人たちと自分を比較している時間があるのなら、自分と同じような取り組みをしている昔の人間に負けまいとより一層作品作りに励む。それが作者の選んだ道であったはずです。
11日(土)におとめ座から数えて「中長期的視点」を意味する11番目のかに座で満月を迎えていく今週のあなたは、自分を未来へと繋げていってくれるものが何なのかということが改めて明確になっていくでしょう。
脳より手先を動かしていく
現代という時代における悲劇とは、何事においてもいまいち「本気になれない」ということの中にあるのではないかと思いますが、それはここ最近のあなたの姿でもあるかも知れません。
感情的な「エモさ」であれ、より身体的な生命力のようなものであれ、それらが根本的なところで満たされることがないために、思いきり困難へチャレンジしてみるということに、なかなか移っていけない。
あるいは、好きなのかどうかさえも分からないような相手と時間を過ごしたり、相手とぶつかることを避けた結果、なんだか余計にさみしさが深まってしまうことだってあったかも知れません。
こうした事態の本質というのは、言ってみれば「見てるだけ」なんです。脳が主体になると、どうしても何かを見て脳を刺激させること自体が目的化してしまう。そうなると、自分のことさえどこか他人事のようにモニタリングしている状態になっていくので、結果、何も大事なことは起こらない。
だから、自分を本気にするためには、まず手を動かしていかなければなりません。
おとめ座のあなたもまた、まずは主導権を脳から手に移し、手先を動かしながら先を見据えていくこと。今週はその一点に尽きるでしょう。
今週のキーワード
仏の顔