おとめ座
コミットとメタモルフォーゼ
過去や先人と繋がっていく
今週のおとめ座は、全集を一揃い買って自室の隅にそっと積んでいくような星回り。あるいは、どんなに小さくても、みずから「責任」を背負い込んでいくこと。
先日、トマス・アクイナス『神学大全』や『ハイデッガー全集』をはじめ、人文系の本格的な学術書を手がける創文社が2020年をめどに解散するという報せが一部のネット界隈で話題になりました。
個人的にも、学生時代にバイトで作ったなけなしのお金で思想系の全集を買って積み上げては感慨に耽った記憶がありますが、この「全集を買う」という行為には新書や文庫本やハードカバーで買う際には発生しない、独特の重みがあるように思います。
なんというか、過去の偉大な先人の遺した仕事に対して、どんなに小さくても何かしらその仕事を引き継いでいかなければならないという「責任」が生じたかのような、錯覚を感じてしまうのです。
そして、6日(金)におとめ座から数えて「過去」や「基盤」を意味する4番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、そうした先人が積み上げてきた営為の歴史や系譜の連なりの中に自分を位置づけていくことがテーマとなってくるはず。
背景の再選択
今のおとめ座の人たちには、根本的な変化のプロセスが必要とされているのかもしれません。
そして、自分をラディカルに変えていく際に問われるのは、自分という存在の成立条件としての背景そのものを変えていくことができるか、です。
ただし、ここでくれぐれも思い出しておいてほしいのは、私たちはいつだって、イメージの中で一度経験したことしか、現実で経験していくことができないのだということ。
つまり、私たちが直面していく事実とは常に「二度目の現実」の別称なのであり、さらに大事なことは、そうして私たちが経験する1度目の現実は、大抵の場合、過去や先人によって築かれ、用意されたものであるということ。
その意味で、先の「全集を買う」といった過去と改めて繋がっていく行為も、「のぞましい現実」を経験していくための布石であり、ある種の「メタモルフォーゼ(変態)」に不可欠なプロセスなのだと言えます。
そのことをよく踏まえた上で、今週は改めて今繋がっていくべき過去や基盤を選んでいきたいところです。
今週のキーワード
イニシエーションとしての過去や先人へのコミット