おとめ座
調和を求めて
「涼気」をどこで感じていくか
今週のおとめ座は、「新涼の固くしぼりし布巾かな」(久米正雄)という句のごとし。あるいは、頭ではないところで新鮮な覚悟を固めていくような星回り。
30日(金)におとめ座で新月を迎えていく今週は、おとめ座の人たちにとって、誕生日の次に厳かで決定的な自己刷新のチャンスを迎えていくのだと言えますが、実際にそれを“分かりやすい”意味のレベルで受け取っていくのはいささか難しいはず。
それは、いくら暦の上では秋が立ったと言っても、まだまだ暑さの厳しい昨今の気候に置かれている私たちにも通底しているかもしれません。
掲句の「新涼」とは、季節が秋に変わったときに感じられる涼気のこと。気候としてはまだでも、つめたく冷えた水ですすいでからよく絞って置かれた布巾において、作者はそうした涼気の凝縮を感じ取ったのでしょう。
この、てのひらと指の先で涼気を感じ取っていくというところに、鋭敏な身体とのあいだで成立している精神の心地よい緊張がよく表れているように思います。
今週のあなたもまた、掲句の作者のごとくすっと背筋を伸ばしていきたいところです。
「自然」のごとく
かつてルネッサンス期の占星術家ロバート・フラッドは、占星術家のあいだではよく知られている「自然全体の鏡および学芸の像」という図像を残しており、その中心には「自然」と呼ばれる美しい乙女が置かれていました。
その右手は雲に隠れたる神(の意思)と鎖でつながれている一方で、その左手は丸い球の上の猿につながれている。そして、この猿の名を「学芸」といい、これこそが人間の「創意工夫」を司っているのだと示したのです。
この猿は自然が口にすることのできない言葉を、自然に代わって表現してくれる貴重な「分身」であり、その芸が磨かれれば磨かれるほど、天と地は離れることなくたがいに緊密な関係を維持していくことが出来ます。
天(宇宙的タイミング)と地(現実的条件)のはざまに生きる人間にとって、それは調和的幸福の在り処を探り、あるいは、確かめる上で欠かせない営みでした。
今週は、そうした天と地を結ぶ「鎖」の手応えを、美しい乙女のごとく身をもって感じていくつもりで過ごしていくといいでしょう。今のあなたならば、きっとそれができるはずです。
今週のキーワード
タロットの「節制」