おとめ座
「花」としての初心
自己模倣と惰性の人生
今週のおとめ座は、「住する所なきを、まず花と知るべし」という世阿弥の言葉のごとし。あるいは、危機感を持って自分の初心を思い出していくような星回り。
世阿弥が完成させたと言われる能は、現在からみれば伝統芸術ですが、実際に世阿弥が生きた時代においては目まぐるしく変わっていく最中にあった「現在の芸術」であり、今そこで作られつつあるものでした。
珍しさが求められ、新しさが観客の関心のまとであり、毎回公演ごとに変化していくことこそが芸術の価値だったのです。
その意味で冒頭の言葉の「住する所なき」とは、「同じ所にとどまり続けることなく」の意味。
すなわち、自己模倣のうちに同じことを繰り返す惰性の人生のことを指し、そうした惰性の罠から脱け出していくことが「花」=芸術の中心であると言っている訳です。
23日(金)に太陽がおとめ座に引っ越してきて、おとめ座にとっては改めて再起動のスイッチが入っていくような今週ですが、それはこれまでの自分のままでやっていこうとする精神を捨て、卒業していくということでもあります。
世阿弥の言葉は厳しいですが、今こそ耳を傾けていきたいところ。
道の途上にいる自覚
例えば、過去の今よりずっと未熟だった自分や、どうしても許せなかったことごとが、まるでかくれんぼのように現在のあなたを取り巻く状況や、これから起きてくるだろう事態の中に潜んでいるのだと考えてみてください。
つまり隠れているのも自分ならば、それを見つけていくのもまた自分に他ならない。すると次第に、未来は過去の映った鏡となり、過去は未来の記憶として見えてくるでしょう。
そういう通常の「時間の流れ」が逆流しているかのような感覚の中、初心に返っていくことで、再び一歩二歩と前進していく力強さを得ていくことができるはず。
かくれんぼしている自分を見つけ、前に足を踏み出していく中でこそ、「そうか、自分の初心て、こんなものだったのかなあ」ということが分かってくる。
そういう意味では、今週はまだまだ自分はそんな道の途上にいるのだと、改めて思い知ってゆく時なのだとも言えるかもしれません。
今週のキーワード
時間の流れが逆流していく感覚