おとめ座
闇路に闇路を踏みそえて
嘆息と呆然のはざまで
今週のおとめ座は、「うしろすがたのしぐれてゆくか」(種田山頭火)という句のごとし。あるいは、自らの儚さしぶとさとを、同時に痛感させられていくような星回り。
種田山頭火と言えば、5・7・5の定型に縛られない自由律俳句の代表的作家であり、また漂泊の俳人としてとみに知られています。
しかし数多ある評伝などを通じてその実像に触れていくと、自己否定のやるせなさから旅立たずにはいられなかった人という印象が強い。
その意味で、やはり12星座でも1、2を争うほどに自己批評性(能内での自分ツッコミ)が強いおとめ座の人たちと通じるところがあるように思う(実際、山頭火は太陽はいて座の生まれだが、月はおとめ座であった)。
掲句は、旅路をゆく自分とそれを後ろから見ている自分とを想定し、自分の後ろ姿に「しぐれてゆくか」と問いかけることによって、自身の存在のはかなさを詠んだ秀句と言えるが、これは占星術的にはちょうどいて座に惑星が集まっている今という時間を生きる自分と、そんな自分を見つめるおとめ座としての自分という構図にも重なっていく。
冷たく降りしきる冬の「しぐれ(雨)」のなかに埋もれそうなほどちっぽけな自分よ、という嘆息と、一方で際限なく否定してもしきれぬほどに案外しぶとく消すことのできないものだな自分は、という呆然と。
今週は両者のあいだを振り子のように揺れながら、それでも前に進んでいくことでしょう。
羽ばたきか骨休めか
「後ろを振り返っているあいだは、憂鬱で臆病だが、
自己を信じるところでは、未来もまた信じられる。
鳥よ、お前は鷲のたぐいなのか?
それともミネルヴァの寵児のふくろうなのか?」
『喜ばしき知恵』の中でニーチェがこのような断章を書き付けたとき、果たして彼の脳裏にはどんな像が浮かんでいたのでしょうか。
ちょうど今のあなたのように、まだ真冬の只中にありながら、その眼には春が近づいてくる様子が見えていたのかもしれません。
もしそうだと感じるならば、今週はあなたにとって一度向かっていくべき次なる目的地を見据えなおし、自分の身を投じていくだけの価値ある道を歩き直していくようなタイミングとなっていくでしょう。
今週のキーワード
座禅和さん