おとめ座
序の舞
リズムを取り入れていく
今週のおとめ座は、「軽々と機をもちて」という能における教えのごとし。あるいは、守るべき「型」の奥深くへと分け入っていくような星回り。
この言葉は、「序破急」という能における時間の変化をいう時に出てくる言葉で、元は能の大成者である世阿弥(『花鏡』)。
序とははじまりのことで、時間がたって熱してくる頃が破、そしてクライマックスを迎えて終わるのが急。日本のみならず、アジアやアラブの音楽のリズムもこの序破急になっています。
だからどうしても「序破急」と言われると、当然始まりゆっくりとやるものであり、そうであるべきだと思い込んでしまう訳ですが、世阿弥が生きた当時、能は必ずしも静かな場所で行われるとは限らず、酒宴の席など相当騒がしい場所で行われることも多かったと言います。
そこで世阿弥の言った「軽々(かるがる)と機をもちて」とは、序にある役者は自分の気持ちを軽やかに引き立てて、場や相手のリズムにそっと合わせていくのがいいと言っているのです。
固くなりすぎず、かといって自分勝手にくだけすぎもせず、まず場や相手のリズムに入り込んでから、いつの間にか自分のリズムにしていく。
役者としての成熟とは、いくつものリズムを自分の身体の中にもっているということであり、それはさそり座での新月と木星のいて座入りにあたって、おとめ座が人生に弾みをつけていくためにぜひとも必要な教えであるように思います。
軽さのイメージを作る
例えば『ストリートファイターⅡ』の必殺技・昇竜拳の入力コマンドなどを見てもらうと分かるように(→↓↘+パンチ)、天に拳を突き上げジャンプするにはいったん膝を落として力をためる間(↓)が必要です。
そして「力をためる」と言っても、それはたくさん買いだめをしておくとか、いつか必要になりそうな知識や経験を先回りしてストックしておくといったことではなく、むしろその逆。
つまり、人を重苦しく、ぶざまにさせてしまう、何かに強くこだわる気持ちそのものを大地にアースして流してしまうことが大切です。
できるだけ、身軽に、柔軟であること。あるいは、自分よりも身軽な人をひとりでも見つけ、彼・彼女らに学びつつ、自分なりのジャンプのイメージを思い描くこと。
それが今週あなたが向き合っていくべきテーマとなっていくでしょう。
今週のキーワード
昇竜拳