おとめ座
自分を自分らしくしてくれるもの
片思いを引き受ける
今週のおとめ座は、惚れた者負け。すなわち、「あなたに負けました」という敗北宣言を通して、何か誰かのことがただ好きなんだという事実を受け入れていくような星回り。
恋愛を筆頭に、人と関わるということは本質的に超絶めんどくさいことなのですが、めんどくさいなりの楽しさや美しさもあって、でもやっぱり汚さもあったりするんですよね。
そして、そういうあれやこれやを経て、誰か何かを最終的に引き受けたり引き受けなかったりする。
自分が好きだからって、相手が自分のことを好きかは分からないし、仮に好きになってもらえたとしても、その時自分も相手が好きかどうかは分からない。
そもそも、相手に自分がしてあげられるものなんて、本当はこれっぽっちもないかもしれない。自分の方が、よっぽどたくさんのものをもらってしまう。
だから結局、恋愛ってそういう「片思い」をエイヤっと引き受けていくことなんだろうなと思います。
相手が何を感じ、何を考え、どう幸せなのかなんて最後まで分からないのだから、どこかで腹をくくって「それでも好きだから」と言うしかないんでしょう。
今週は、あなたが心から「負けました」と思えるものと出会えたことを、ただ純粋に感じていくことができるかもしれません。
決定的なやりとりの成立条件
頭で考えた言葉をしゃべるのではなく、ハートからほとばしる心音がそのまま口をついて出たとき、何と言うことはない状況での会話も決定的なやりとりへと変わっていきます。
ちなみに、西洋の伝統において「聖杯」はイエスの血を受けた杯のことを意味し、血の容器である心臓(ハート)と結びつけられ、愛情や心を潤わすもの、そしてほとばしるような感情を表すシンボルでもあります。
これは決定的なやりとりというものが、受け手の側の準備できていてこそ成立していくものであるということを示唆しています。
つまり待つ方も、そしてそこに乗ってくる方も、自然とドキドキしたり、感情がほとばしるような状況をきちんと選んでいく、ということが大事なのです。
例えば、田辺聖子の『言い寄る』には、次のようなやりとりが出てきます。
「明日の晩、取りにきて。一人でね」
と言った。
「どうして晩なの?」
「夜の方が仲良くなりやすい」
なんてことはないようにも思えますが、そこにはきちんと水をたたえた杯が見えてきます。
言う方も、言われる方も、こうしたやり取りの後には何かがそれ以前と決定的に違ってきてしまうでしょう。
今週のキーワード
カップのエース