おとめ座
鈍感と繊細
私たちは感覚を売っている
今週のおとめ座は、肉体労働の現場に初めて入っていく時の「胸躍るような恐怖」を感じていくような星回り。あるいは、どこかに売り飛ばしていた感覚や時間を取りもどしていくこと。
実際に肉体労働にしてみると分かるのは、8時間なら8時間のあいだずっと、私と言う意識は、暑いという感覚、重いという感覚、疲れたという感覚を感じ続けることになるということ。
そして、それを誰かに押しつけられない代わりに、お金をもらうのだということです。
こうした感覚はもちろん、純粋に苦痛であるだけではありません。そこに快楽が生じる可能性だってある訳ですが、そういうものもひっくるめて、感覚を売る仕事であり、またやはり時間を売る仕事なのです。
そして仕事というものは、ある程度の割合でかならず肉体労働を伴ないます。あなたは普段、仕事を通してどんな感覚を意識の中で感じ続けているのでしょうか?
今週は、そうして無意識の内にお金に代えて、鈍感になっていた自分の感覚を改めて見つめて、そこに繊細さを取り戻していくことがテーマとなってきそうです。
生きる自然と小さな日常
「整体」という言葉が普及するきっかけをつくった野口晴哉は、自然に生きるとは何も獣のように山野を駆け回ることにあるのではなく、「白い飯を赤き血にして、黄色き糞にしていく」そのはたらきにこそあると言いました。いわく、
「生の食べ物を食べても、生水を飲んでも、海で泳いでも、森の中に入ってもそれが自然なのではない。人間という集合動物が街をつくり、その中に住んでいたって決して不自然ではないのだ。ただその生活のうちに生の要求をハッキリ活かすよう生くることが、生くる自然であることだけはハッキリしておかなければならない」(『月刊全生』)
つまり、あなたの身の内にある「よりよく生きる要求」、すなわち自然の言葉ことをしっかりと聞いて、それを毎日の生活の中に反映させていくということ。
ただし、そうした自然の言葉は必ずしもこちらの都合のいい言葉とは限らず、実行しようとすればしばしば既存の生活や価値観が崩れていくことになります。
繊細さを取り戻すということは、きっとそうした日常の小さな1コマでこそ求められるのでしょう。
今週のキーワード
整体