おうし座
大いなるパワーを宿していく
秘すれば花
今週のおうし座は、「菫つめばちひさき春のこゝろかな」(暁台)という句のごとし。あるいは、秘密の花を丹精込めて仕込んでいく中でこそ、掴みえる希望の感触を確かめていくような星回り。
菫(すみれ)の花というのはじっと見る度に、なかなかに奥ゆかしいものだと感じられてくる。というのも、可憐な花のひとつひとつがみな俯いて揺れているから。作者はそんな菫の花を「小さなこころ」のようだと言っているのだ。
小さいけれど、そういうところにこそ春という季節の本質は宿っている。作者はそんな風に感じているのではないか。
この句を反芻していると、どうしても世阿弥の「秘すれば花、秘せねば花なるべからず」という言葉を思い出さずにはいられない。
そして、個人的な事情であれ、才能であれ、半ば強制的に露出させられて消費されていってしまう今の時代にあって、果たして「小さなこころ」や「秘すれば花」と言えるような、隠れたものを自分は持ち得ているだろうかと、自問してしまう。
きっとそうしたところに、人生の幅も、仕事の深みも出てくるのだろう。密かにラテン語を習ったり、楽器をひいたりしている人もいるかもしれない。実際にそれが役に立つかどうかは分からない。けれど、それでいいのだ。
表に出ている自分とは異なる自分の世界を持っていて、自分を磨いているということが大切であり、そこに人としての厚みが出てくる。そんなことを、今週は意識してみるといいでしょう。
蛍になりきる
ほう ほう ほたる こい
あっちのみずは にがいぞ
こっちのみずは あまいぞ
ほう ほう ほたる こい
という童歌がありましたが、今あなたはこれまでにいた世界とは異質な世界の“味”を知って、そちらに惹かれているのではないでしょうか。
いや、もっと言えば、これまでいた世界への居心地のよさにも思い至り、新しい世界へ飛び込んでいくことへの不安もあいまって、どっちつかずの状態に陥っている。
まるで子供達に囃されている「ほたる」のように。
今週のあなたのテーマは、秘すべき花や新たな選択肢についてしっかりとよく考え抜くことです。
ただし、おうし座の人というのは本質的に感覚タイプですから、「合理的に」とか「損しないように」という思考になってきたら要注意です。
今週のキーワード
ほたるこい