おうし座
終わりを思う
今週のおうし座:芭蕉の最後の旅
今週のおうし座は、「行春や鳥啼き魚の目は泪(いくはるやとりなきうおのめはなみだ)」(松尾芭蕉)という句のごとし。あるいは、2つの異なる世界に橋をかけていくような星回り。
この句は芭蕉が「おくのほそ道」の旅に出発するにあたって詠まれた句ですが、同時によく分からない句でもあります。
多くの人が別れを惜しんで見送りに来てくれていることまでは分かるのですが、なぜ唐突に「鳥」や「魚」までも登場させているのか。あくまで人の情を詠むのでよかったのではないか、ということがいまいち見えてこない。
ひとつ確かなことは、芭蕉がこの旅を人生最後の旅となることを思い定めていたであろうことです。つまり、半分棺桶に片足を突っ込んでいる状態で、旅の第一歩からして、生者と死者の世界をまたぐ一歩であったということ。
単に物理的に移動しているのでも、単に時間が経過しているのでもない、これまでとはまったく異なる別世界へと移行しつつある自分を感じており、そのことを心の底から共有できると感じることのできた相手は、この世の人間にはもはや見当たらなかったのかもしれません。
今週のおうし座もまた、どこへ向かうか分からぬ人生の流れを茫洋と眺めつつ、古い世界から新しい世界へと一歩また一歩とまたいでいくことになるでしょう。
悲しむべきか、祝うべきか
そうして1つ、いやもしかしたら幾つかの関係が終わりを迎えていくことになる。それは、仕事やパートナーなど、些細なストーリーに幕が下ろされるだけかもしれません。
いずれにせよ、あなたは失われゆく関係に対して、クラッカーを鳴らし、好きなお酒と音楽でもって送ることをそろそろ学ぶべきなのでしょう。
おうし座への今週のキーワード
異界の門を開く