おうし座
感覚の解像度
今週のおうし座:淵に降りる
今週のおうし座は、「百千鳥黄泉の国より杉菜生え」(飯田龍太)という句のごとし。あるいは、何気ないやりとりや平凡な日常経験の中に潜む深みへと、転がり込んでいくような星回り。
「百千鳥(ももちどり)」とは小鳥たちのさえずりのことで、春頃の恋の相手を求めて鳴き交わすさまを言います。
そうした音が天から降り注いでいる一方で、同じく春頃になるとそこらじゅうに見られる「杉菜(すぎな)」が、ある黄泉の死の国から鮮やかな緑をたたえて生えてきている、と作者は感じている。
生者と死者の世界が、聴覚と視覚の対比を通じて交錯している訳ですが、それはあくまで作者の私的な感覚の中でのみ感じとられたもの。すぐ誰かに話したとしても、簡単に共有できるものではないでしょう。
しかし、そこには現実よりも生々しく陽炎のようにとりとめとめもないにも関わらず、体にじんわりと染み込んでいく暖かさがある。そうした明確には掴み切れない何かを薫らせていく時間を、今週は大切にしていくことです。
ほんのささいなこと
どんな人の中にも色々なものが詰め込まれた「心の押し入れ」があるものですが、あなたはいまその押し入れを開け、ひとつひとつ取り出して、確認していく必要に迫られているのだとも言えるかもしれません。
特に、ほんのささいな小さな出来事や記憶、それにまつわるアイテムの中に、大きなヒントやが隠れているということはとても多いんです。
大きな変化を迎えるために、逆に小さなパーツに集中していく。
こうした作業を続けていくと感覚の解像度は自然とあがっていきますし、それは今のあなたにとって楽しくも新鮮な衝撃を伴ってくるでしょう。
今週のキーワード
神は細部に宿る