おうし座
くびきと影
今のおうし座:牛は野に向かう
今週のおうし座は、くびきの外れた牛のごとし。すなわち、みずからの存在の仕方が、古臭く暗い側面を一掃していくような星回り。
1行の文章にも影があるように、どんな人生にも歩んできた道のりの分だけ影があるものです。
それは人によっては長い「言いわけ」であったり、逆に何かを言わないできた「沈黙」であったりとさまざまですが、いずれにせよ影を放っておけばいつしか自身を蝕むようになり、影の方が主人となる立場逆転の危機を迎えることになります。
あるいは、放っておいてはいけない影に執着し、愛着を覚えるようになる。それもまた人間の姿です。
最近忙しくて内を見つめる時間がなかったという人は特に気を付けて。その忙しさは、内にある影から逃げ出すために自分でこしらえたものかもしれません。
おうし座へのアドバイス:滲み出すよ影は
「革は破れ、糸は切れ、紙は溶け、なかば液体のやうに図書館から滲み出る書物たち。自在に、あてどなく蠢きはじめる書物の内側で、語は文脈のくびきを逃れる。後の内側では文字と文字が喧嘩別れし、文字の内側では画たちが騒ぎ始める。 無数の線が解き放たれるとき、書物は土へと還る。」 (中村安伸、『虎の夜食』)
「牛」は目的地へ向かう路を外れ、野に放たれ、再び街道へと戻ることもあるかもしれません。しかしいずれにせよ決まっているのは、やがて土に還る身であるということ。
そういう土へと還るの感覚を忘れないでいれば、影が滲み出てきても、私たちを乗っ取りはしないでしょう。
おうし座 今週のキーワード
『虎の夜食』