おうし座
美と狂気に生きる
三島由紀夫のごとく
今週のおうし座は、切実さと本気度で自らの思い描く「美」を追いかけ、訴えていった三島由紀夫のごとし。あるいは、自己満足の外へと一歩踏み出すこと。
どうも狂信的な右翼といったイメージが先行しがちな三島由紀夫ですが、彼の書いた小説を読んでいると、この人は子どもがただ宝物を集めるみたいに、ピュアに美しいものを求めていただけだったのだろうな、ということがよく分かります。
「早く人間よ、滅びてしまえ!」と銀行員は、醜くひらいた鼻孔を見せて、呪詛の祈りをはじめた。
「生れると忽々(こつこつ)、糞尿のなかをころげまわり、年長じて女の粘膜にうつつを抜かし、その口はいぎたない飲み喰いと、低俗下劣な言葉と、隠しどころを舐めることにしか使われず、老いさらばえて又再び糞尿のなかをころげまわる、人間という穢らわしい存在よ、一刻も早く滅びてしまえ!嫉妬と誹謗に明け暮れて、水と虚偽なしには寸時も生きられぬ、人間なんぞ早く滅びてしまえ!汚れた臓物にみちみちた、奇怪な皮袋をかぶった存在よ、もう我慢がならん、滅びてしまえ!消えて亡くなれ!」(『美しい星』)
しかしごめんなさい、実際に横にいたらついていけなかったと思う。
けれど、「人間とは? 命とは? そして美とは?」という問いにまつわる本気の追求を、彼がついぞ誰とも共有できなかったのかと言えば、そうではないでしょう。
今週のあなたもまた一度呪われてしまった執着と、とことん付き合っていく覚悟を決めることです。
突き抜けた者勝ち
浪漫もロマンスも、他人からすれば大抵はキモチワルイもの。でもだからこそ、自分にとってだけは最高に美しい。これはね、もうまったくもってしょうがない真理なんです。
何を美しいと思うかなんて、その人の信念でしかない。それもとことんまで行けば信念というか、もはや狂気。
逆に言えば、狂気まで行けたら気になることなどなくなってきますし、結果的に時代を超えて届くこともありますから、それはそれで喜ばしいことなんですよね。ぜひとも、それくらいの境地を目指していくべし。
今週のキーワード
美しい星