おうし座
大丈夫?大丈夫なわけないだろ
モロに吐露
今週のおうし座は、『冬の日や前にふさがる己が影』(村上鬼城)という句のごとし、あるいは、覆い隠しがちな本音や真実をそっと告げていこうとするような星回り。
自分の影が自分の前方を塞いでいるのだという。それも、春とか秋のような快適な時分ではなく、寒さもこたえ、何かと忙しくなり余裕のなくなってくる「冬の日」だと、少なくともあまり気持ちいいものではない。
場合によっては、「泣きっ面に蜂」のような形でそれがダメ押しになってしまうことだってありえるはず。掲句の「前にふさがる己が影」という言い方にも、やがて来るかも知れないものが、ついにやって来てしまったというような、ある種の観念した人間の心理がうかがえます。
身体的な障がいを抱えながら10人の子を育てていた作者には、困窮した生活や不遇な人生をめぐってアイロニーをこめて詠った句が多く見られますが、掲句に関しては自分なりの矜持だとか負け惜しみなどは一切はさまず、ただ率直に自身の行き詰った心持ちを吐露しているような印象を受けます。
しかし、人からの憐れみを誘うような仕方ではなく、そうした心持ちを表現できるということ自体、作者の弱さや未熟さの露呈というより、むしろ彼の魂の大きさや成熟の何よりの証しではないでしょうか。
11月24日におうし座から数えて「裸身」を意味する8番目のいて座へと「実行力」を司る火星が移動していく今週のあなたもまた、普通ならあまりに人に大っぴらにしないし、できないような話をこそ、丁寧に紡いでいくべし。
『東京一年生』
竹原ピストルさんの『東京一年生』という曲をご存知でしょうか。夢を追いかけて東京に出てきた主人公の気持ちをストレートな歌詞とともに歌った曲ですが、おそらく実際に竹原さんが過去に感じていたことを歌っているのでしょう。
生きづらい、暮らしづらい、うまく呼吸ができない。そういうことは誰しもが一度ならず感じているはず。歌詞に引き付けるなら、それは「夢があるから」であって、けっして「街のせいじゃない」んです。「例えば人ごみが息苦しかったなら、まずが自分が消えることだよ。さもなくば、窒息するまで歌いきるんだ」。
街に染まって誰かを汚い罠に陥れる側の人間になるのではなく、逆に堅苦しい価値観やガチガチに固められた奴隷根性に風穴をあけて緩めてあげられる側の人間になろうと。
今週のおうし座もまた、そんな風にできるだけ自分のなかの声なき声と向きあいつつ、それでいてどこかさっぱりと過ごしていきたいものです。
おうし座の今週のキーワード
傷つける側に回るくらいなら傷つく側でいること