おうし座
シンプルイズベスト
飽かずにいられることの尊さよ
今週のおうし座は、『葱焼いて世にも人にも飽かずをり』(岡本眸)という句のごとし。あるいは、長続きする豊かさへと回帰していくような星回り。
「葱(ねぎ)を焼く」という料理とも言えないような庶民的な一品を、飽きずに食べ続けている自分を突き放して観察してみせた一句。
葱の白い部分を、食べやすい長さに切り、油をひいたフライパンで焼く。いい感じに焦げ目が付いたらそれで出来上がり。仕上げに塩をふるか、味噌をつけて食べるのでもいい。長く食べ続けていると、そうした小さな工夫を加えるのも苦でなくなってくる。
それはどこか、気負わずに続けることのできる相手との人間関係にも通じますし、そもそも生きることそのものにも置き換えられるのではないか、と。晩酌がてら、ふと箸をとめてそんなことを思い浮かべている作者の姿が目に浮かぶようです。
葱というと鍋の具材や薬味など、どうしても脇役感が強いですが、葱を焼いて食べてみると、それが葱本来の甘みをもっとも引き出す食べ方であることがしみじみと分かるはず。同様に、人付き合いであれ暮らしぶりであれ、できるだけシンプルに過ごしていくことが、「飽かず」にいられるためのコツなのかも知れません。
1月15日におうし座から数えて「習慣」を意味する6番目のてんびん座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、さりげなくコツコツ続けられることのありがたみと大切さを噛みしめていくべし。
ずっとそこにあった自然に気付く
逆に言えば、今週のおうし座は、なにか未知の領域から未来の出会いや新規の興奮材料を探そうとするのは避けること。
むしろごくふつうの物事や、ずっとそこにあった自然のような、ありふれた日常の中にこそ、インスピレーションや情熱の源泉は潜んでいるのだということを改めて意識していく必要があるように思います。
あるいは、孤独や過去をしっかりとくぐっていくことを通じて、こころを開ける相手やそんな相手に向き合うと喜びが見出されるのだとも言えるでしょう。
そして、そうしたプロセスを経てこそ、あなたは掲句の「葱焼き」のような人生のうまみやそれを味わえる豊かさを改めて思い出していくことができるはず。
おうし座の今週のキーワード
「おかげさま」とか「ありがたさ」の感覚