おうし座
ひとつの終わりについて
「祓戸四神」の最後の神のなすべきこと
今週のおうし座は、ハヤサスラヒメの働きのごとし。あるいは、受け止めた穢れは祓い清めていこうとするような星回り。
神道において祓を司どる神は四神いて、まず川の瀬にはセオリツヒメという女神がいて、流れが速くなったところにハヤアキツヒメ、そして河口付近や浅瀬の海にイブキドヌシという男の神がおり、それから深海にハヤサスラヒメがいます。この三人の女神と一人の男神が大祓という不浄のものを流す儀式に携わっているわけです。
溜まりにたまった人間の罪穢れをセオリツヒメが川に乗せ、ハヤアキツヒメがぐんぐんそれを運んで海に届け、イブキドヌシがそれらを受けて、ふーっと吹くと罪穢れが海の向こうへと放たれていく。では、それをすべて受け取ったハヤサスラヒメは、そこから一体どうするのか。実は、その罪穢れをたずさえて、海の底をひたすらさすらうのだそうです。そうしているうちに、いつの間にか罪穢れがなくなっていき、すっかり浄化されたところで新しいサイクルが始まっていくのです。
こうした海の一番深いところにあるすべてを飲み込み浄化してしまうという本質を、女性的な神様として神格化していく発想は、西洋にはまずないものだと思いますが、今週のおうし座にはどこかこのハヤサスラヒメの働きを連想させます。
17日におうし座から数えて「ひとつの終わり」を意味する4番目のしし座で満月を迎えていく今週のあなたは、誰も責めることなく何かを終わらせていこうとするような流れに入り込んでいきやすいでしょう。
欠損の自覚と分離としての出発
アメリカの神話学者ジョセフ・キャンベルは世界中の英雄伝説を調べあげた上で、大半の英雄神話に共通するひとつの「物語のパターン」を突き止めました。それが「セパレーション(分離と出発)」、「イニシエーション(試練)」、そして「リターン(帰還)」という三段階です。
日本人にもなじみ深いスターウォーズ・シリーズだけでなく、桃太郎や『男はつらいよ』などはどれも、まず予期していなかった意外な出発点と未知の国への旅立ち&別れがあり、その途中でさまざまな試練に遭い、仲間やヒントを得ながらなんとかそれを乗り越えると、今度はそこに留まることを勧められ、しかし最後には故郷の国へと戻っていくという共通の物語パターンを有しているのです。
もちろん、これは大まかな区分けであり、もう少し詳しく8つの段階に分ける見方もあるのですが、今のおうし座の場合、特に最初の「セパレーション」において既存の文脈から切り離されていくステップと現在の自分の置かれている状況とを照らし合わせてみるといいでしょう。うまくいけば、自分がいつの間にか超えるのが難しいと感じていた"境界線”をとうに超えつつあることに気が付いていくことになるかも知れません。
おうし座の今週のキーワード
女もつらいよ