おうし座
画竜点睛をおもう
※1月10日〜16日の占いは、諸事情により休載いたします。誠に申し訳ございません。次回は1月16日(日)午後10時に配信いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
客神招来
今週のおうし座は、「何かお忘れじゃありませんか?」と声がかかっていくような星回り。あるいは、自分の手で埋めても埋めても埋めつくせない何ものかの訪れに、みずからの行方を託していこうとするような星回り。
前もって手を打つ。綿密に計画する。完璧な準備をする。そういうことも大事ではありますが、どれだけ抜かりなくあらゆる手を打ったつもりでも、ことが始まった瞬間に、ハッと忘れていたことに気付くときがあるのです。
というよりむしろ、忘れてみないと絶対にわからないことというのがあって、それは日常生活を根底から崩したりするような大げさなものではない代わりに、ちょっとした影響によって私たちを何かからそらしてしまったり、逆に必要なものをすっと引き寄せてくれたりする、そんなことが起きていると思うのです。
例えば、正月には歳神が家の中に入ってきて、人間は山のシンボルの松飾りを作ってそれを促す訳ですが、節分には再び山へと帰っていく。その際、里のシンボルである豆とかを持って帰っていく。また、歳神は節分には鬼の姿になっていますが、実はこれは成長した「魂」であり、これが外来魂としての日本の神のサイクルなんです。
2022年1月3日におうし座から数えて「外部からやってくる情報」を意味する9番目の星座であるやぎ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、自分が生きている現実を支えている小さく、微かで、普段なら見過ごしがちなピースにこそ注目すべし。
肖像と額縁
19世紀に生きたスイスの哲学者アミエルの日記に、「50歳までは、世界はわれわれが自分の肖像を描いていく額縁である」という一節があります。
そうだとすれば、私たちは人生のほとんどを本体である絵ではなくて、脇役であるはずの額縁づくりに費やしていることになる訳ですが、これは案外その通りであろうと思います。
というより、絵を描いてから額縁を探すのではなくて、絵を納めることになる額縁=人生のアウトラインや大枠が定まってきて初めて、絵すなわち人生という物語やその内的意味がはじめて紡がれ、宿っていくことになるのではないでしょうか。
なお、アミエルが有名になったのは、死後にその膨大な日記が発見され、刊行されてからでしたが、幸か不幸か、現代という時代はアミエルの生きた時代と比べても、個人的奮闘だけではいかんともしがたい現実にぶつかる機会はまったく減っていないでしょう。
その意味で、今週のおうし座もまた、これまでの自分がどのような「アウトライン」を作ってきたのか、そして、そこからどんな物語を紡ぎえるのか、よくよく思いを巡らせてみるといいでしょう。
おうし座の今週のキーワード
物語を引き立たせるものとしての半生