おうし座
ビジョナリーのための準備運動
こちらは9月27日週の占いです。10月4日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
眼玉の純度
今週のおうし座は、「目にて書く大いなる文字秋の空」(高浜虚子)という句のごとし。あるいは、自身のまなざしから誤解や精神の曇りをふるい落としていくような星回り。
虚空に文字を描いてみせた一句。あくまでそれが「言葉」ではなく、「文字」であることに注目したい。
つまり、広々とした秋空をスクリーンにホログラフィーのように浮かび上がって見えてくるものを「文字」に見立てているのですが、それはもはや自然の写実などではなく、自由に想を遊ばせることで生まれてきた作品であり、そのさまを句に仕立てた掲句は言わば、アーティストのメイキングなのだとも言えるかもしれません。
「目にて書く」というのも、それが絵になるかならないか、詩になるかならないか、という最初の生理的な直感がほとばしったさまを横から見せてくれている訳で、いい俳句というのは頭でこねくり回した思考や病んだ精神から生まれてくるものではなく、あくまでも健全な肉体と眼から生まれてくるんですね。
9月29日におうし座から数えて「情報の受発信」を意味する3番目のかに座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、眼玉の純度をあげていくことて心がけていきたいところです。
「ハイパースティション(hypersutition)」としての未来像
「スーパースティション(迷信)」を元にして近年主にポスト資本主義を構想する一群の人たちによって使われ始めた造語である「ハイパースティション」という言葉は、それ自体はフィクションの一種でありながらも、真理へと自身を変容させることを目論んでいる生きた触媒のごとき夢想を意味します。
例えば、「働かざる者食うべからず」といった労働倫理は、労働市場で優位に立つことができず、経済に寄与する力が少ないかほとんどない者たちを、価値がなしと見るに留まらず金食い虫として社会から切り捨てたり、ただでものを手に入れたと見なされる人々へサディスティックな処罰を下すことさえ肯定しかねない。
そういった点で、今やこれ以上無視することができなくなりつつある社会の歪みの根底にあるものと言えますが、今週のおうし座は、逆にそうした日常的に慣れ親しんだ価値観を超えて、どれだけ未来に撒いていくべきアイデアやビジョンを思い描いていけるかが問われていくことになるでしょう。
どうしたら労働者にクソ仕事を蔓延させつつ、その上がりをますます還元しなくなってきた資本主義社会から自分たちの未来を取り戻せるか。伝統的な要求である正規雇用や終身雇用とはまったく逆のベクトルで、すなわち、労働の外部において意味のある生を想像していくことができるか。大いに想像を広げていきたいところです。
今週のキーワード
脱ブルシットジョブ