おうし座
運よく花咲く
※2021年3月1日~3月7日の週間占いは、公開を延期とさせていただきます。(2021年2月28日追記)
早春の花園のごとく
今週のおうし座は、岡潔の「スミレはただスミレのように咲けばよい」という言葉のごとし。すなわち、自分なりの情緒を表現する手段がひとつあれば、それでいいじゃないか。
世界的な数学者で名文家としても知られた岡潔の、『春宵十話』というエッセイ集の「発見の鋭い喜び」という章には、次のような一節があります。
よく人から数学をやって何になるのかと聞かれるが、私は春の野に咲くスミレはただスミレらしく咲いているだけでいいと思っている。咲くことがどんなによいことであろうとなかろうと、それはスミレのあずかり知らないことだ。咲いているのといないのとではおのずから違うというだけのことである。私についていえば、ただ数学を学ぶ喜びを食べて生きているというだけである。そしてその喜びは「発見の喜び」にほかならない。
そもそも数学者をつかまえて人類に何の役に立つのかという問いを立てること自体が無粋の極みではありますが、これは岡の言葉を借りれば「情緒」というものが余りに失われた結果でしょう。
岡は別の箇所でも「数学というのはどういうものかというと、自らの情緒を外に表現することによって作り出す学問芸術の一つ」とか「日本は昔から情緒の中心だけは健在だった。それが汚されたら、いったいどこを指して日本というのだろうか」などとも述べていますが、それも早春の花園を実際に見たことがなければ読んでも理解できないでしょう。
27日におうし座から数えて「再誕」を意味する5番目のおとめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、「言葉では言えないが知っている」何がしかを表現していくことに心血を、そして人生の活路を見出していきたいところ。
運のいい人、わるい人
「スミレはただスミレとして咲けばよい」ということは、言い換えれば「ただ一度きりのチャンスにおのれを賭けてみよ」ということでもあるかも知れません。
ともすれば人は人生で一度きりであろうチャンスを前に、かえって身体や心を硬直させしまって何もできずに終わったり、「また似たような機会があるだろう」と安易な慰めを与えて水に流してしまいがち。
そうして、「やってみたい」という気持ちや本能を無視して「やらねばならぬ」ことに従事していると、だいたい体が冷えていったり、あちこちが硬くなっていったりする訳ですが、大抵「運が悪い」人というのは、そんな風に心身が冷えきって硬直している人がほとんどです。
その意味で今週のおうし座は、ただ思いつきを具現化するというだけではなくて、どこか停滞していた運気に活力を取り戻し、「運のいい」人になっていくためのきっかけをつかんでいくことがテーマになっているのだと言えるでしょう。
今週のキーワード
情緒の中心を温める