おうし座
手でする
手と手
今週のおうし座は、ヘブライ語で“手”を意味する「ヤード(YD)」という言葉のごとし。すなわち、頭で考えることよりも手で感じることにおのれを託していくような星回り。
古代ヘブライ人は「ヤード(YD)」という言葉に「力」「傍ら」「記念」などの意味を持たせて使用しましたが、この「ヤード」という名詞をもとに「手でする」を原意とする動詞やさらにその派生語が作り出されました。例えば、詩篇に次のような句があります。
「暮らしを支えるために朝早くから夜遅くまで身を粉にして働いたとしても、それが何になるのか。主は愛する者に必要な休息をお与えになるのだから。」(詩篇127・2)
原文を参照すると「愛する者」はヘブライ語で「友、親友」を意味する「ヤディド(YDYD)」という言葉で、語形から見ると「手と手」とも読むことができますが、これは「親交をもつ、仲良くする」の意味をもつ「ヤデド(YDD)」という動詞からの派生語なのだそうです。
つまり、真実の友とは言葉から生まれるものではなく、両手の手(行い)によって初めて成立する。黙したまま手と手が触れ合い、そこでじかに相手を知ることが、真の理解に繋がっていく。少なくとも古代ヘブライ人はそのように捉え、神(ヤハウェ)への賛美の詩を綴ったのです。
11月1日に自分自身の星座であるおうし座にある天王星の真向かいの位置へと太陽が巡り、否応なく意識がそこへ向けられていく今週のあなたもまた、何によって知るべきかという最初の“一手”に立ち返っていくといいでしょう。
加護を得る
神話の英雄や半神たちには、幼い頃に何かの事情でいったん親に捨てられたことのある人物が異常に多いですが、これは生活条件の厳しかった古代においては、どこの国でも捨て子は必要悪だったという事情半面、あとは不肖の子や虚弱児などを洞窟などの「母なる大地の子宮」に委ねることで産土の加護を得られるようにという神頼み半分といったところだったのではないかと思います。
「土がつく」とは相撲の世界では負けることを意味しますが、ことその後を生き延びた捨て子たちにとっては第二の母としての「大地の力」を宿したことに他ならず、その加護によって尋常ではない働きが可能になっていった訳です。
思えば、ギリシャ神界最大の神であるゼウスからして、誕生と同時に父神の目を逃れるために、クレタ島の山の洞窟に遺棄されて、大地ガイアのふところに委ねられて育った子でありました。
彼らは自分の命運を母以外の誰かに委ねるという経験を早期にしていくことを通じて、自然と“手ずから”力を借りる術を身に着けていったのかも知れません。
そして今週のあなたにとっても、そうした自分に必要な手助けを適切な仕方で申し出ていくことは大事なテーマとなっていくはずです。
今週のキーワード
黙手