おうし座
依って立つ
雨が老いから引き出すもの
今週のおうし座は、雨の日でも手をとりあって散歩に出かける老夫婦のごとし。すなわち、器が試されるような厳しい状況にあっても、冷静さと落ち着きを保つこと。
足元がすべりやすく、傘で片手のふさがる雨の日にわざわざ散歩に出かける人はそう多くないでしょう。ましてや、足腰が弱くなってくればなおのこと。
しかし、それでも雨の中を取り立てた目的もなく散歩していると、なぜか心は落ち着いてくる。あたりいちめんに、雨音と雨の匂いが立ち込めると、だんだん陶然とした心持ちにすらなってきます。
そういう瞬間をほかの誰かと共有したいと思うのは、若い頃にはあまりない心境かもしれません。音と匂いと、それを感じる肉体の感覚。老夫婦が互いに差し出す手は、それらを魂に刻みこむための、感覚器官なのかもしれません。
今週は、そんなふうに新しい感覚器官をしずかに花開かせていくことがあなたのテーマと言えるでしょう。
雨はノイズを遮断する
どこかで「万有引力とはひき合う孤独の力である」と谷川俊太郎さんは書いていました。でも、互いにひき合っていることを認めるのは実際にはとても難しいことです。
それは街やネットに溢れている広告だとか、「ランチの時間だから食べなきゃ」といった自動プログラムとか。いろんな電気信号を受信しまくりながら生きていると、いつの間にか足元がお留守になって、どこに立っているのか忘れてしまうから。
あなたはどこに立っているんでしょう? そしてその足元を支えるためには、どこからどれくらいの力を借りる必要があるのでしょうか。
そんなことを、朝、窓を開けながら考えたいですね。
今週のキーワード
朝の習慣