おうし座
運命の区別と集中
梅棹の先見性
今週のおうし座は、梅棹忠夫の『女と文明』のごとし。あるいは、古い主婦業界をてきぱきと解体していくような星回り。
本書の核となっているのは、1959年に『婦人公論』で発表された「妻無用論」という短い論文で、発表されるやいなや世間から大きな反響を呼び、主婦たちからもまた男性からも大バッシングを受けたようです。しかし、それから60年の月日が経った2020年の現在ではその受け取り方はだいぶ好転したのではないでしょうか。
人間は、もはやこのほこるべき伝統にかがやく一夫一妻的家族を解消するほかない。完全な男女同権へのつよい傾向は、必然的にわたしたちをそこへみちびいてゆくであろう。男を主権者として、それに子どもを配する男家族と、女を主権者として、それに子どもを配する女家族とが、ときに応じていろいろなくみあわせによって臨時の結合をする、というようなことにでもなるのだろうか、わたしにもよくわからない。
男性が会社で働き、女性が家事と子育てを受け持つという「サラリーマン型」の家庭を基本とするような考え方がもはや成り立たなくなった今、家庭を男も女もない公平な場へと認識を改めていくことは、女性が気持ちよく働ける社会になっていくことと表裏の関係にあるはずです。
9月22日のおうし座から「生活リズムとその健全化」を意味する6番目のてんびん座へと太陽が移っていく今週のあなたもまた、いきいきと健康でいられることを最優先に、改めて生活リズムを整えていくといいでしょう。
見えにくい徳性の集まり
古代ローマの格言に「すべての人は自分の運命の建築家である」というものがあります。あまりにすっきりと合理的過ぎて、なんだか保険の営業マンが提示する人生モデルみたいだなと思う一方で、フランシス・ベーコンが運命にからめて次のように書いているのは、実に味わい深いものがあります。
運命の歩みは、空の銀河に似ている。銀河は多くの小さな星の集まりあるいは塊である。小さな星は散在していてよく見えないが、一緒になって光っている。同様に、多くの小さな、見えにくい徳性が集まって人々を仕合わせにするのである。
家の台所なんて、この世界のなかではごくちっぽけな片隅に過ぎませんが、それがやはり同じくちっぽけな存在である自分自身とかみ合い、日々回っていくこと、やがて一つの塊りとなっていく。それもまた運命の歩みなのだと言えるかも知れませんね。
今週は、目を凝らして注意深く観察することで、自分の運命を他のものと見分けていくことができるかも知れません。
今週のキーワード
運命の建築家