おうし座
シンプルに生き抜くこと
蟹を売る女
今週のおうし座は、「雪激し女うつむき蟹を売る」(三好潤子)という句のごとし。あるいは、自分の運ぶ荷物の重量や手応えに、自らの底力をひしひしと感じていくような星回り。
蟹の鮮やかな紅色を、白雪がこれでもかと鎮める雪国の光景を詠んだ句。
激しい雪がかえって蟹を売って生計を立てている女のたくましさや、その息遣いを引き立たせているようで、作者が長年の病に苦しんだ女性であることも加え、強い印象が残ります。
またここには本来あるはずの社会というものが存在しません。
不幸というものはしばしば社会的なものなだけに、蟹を売る女もどこか元からそういう生き物なのだという風に、ごく自然な存在として見えてくる。
背負うべきものを背負い、営むべき行為を営んで、女はきっとこれからも生き続けていく。
そう思い至ると、どこか清冽な印象さえ受ける句でありますが、今週のおうし座のあなたもまた、余計な社会の目などは気にせず、シンプルに自分の力を何かしらの営みに投じていくとよいでしょう。
何を欲し、何を背負うか
『モモ』の中でマイスター・ホラが、モモにこんなことを言っています。
「彼らは人間の時間を盗んで生きている。しかしこの時間は、ほんとうの持ち主から切り離されると、文字通り死んでしまうのだ。人間というものは、ひとりひとりがそれぞれ自分の時間を持っている。そしてこの時間は、本当に自分のものである間だけ、生きた時間でいられるのだよ」
ここで言われている「彼ら」とは「灰色の男たち」と呼ばれる者たちのこと。
お金や、お金中心のシステム受益者のメタファーとも捉えられます。
あなたが背負うべきは、お金を得るための代償の重荷なのか、それとも生きている実感を得るための財産の手ごたえなのか、今週はそのことをよーく考えてみることです。
今週のキーワード
自分の時間を生きる