おうし座
遊ぶことと歌うこと
演じる役者のように
今週のおうし座は、「世界は劇場。人生は演劇。人間は役者。」というシェイクスピアの言葉のごとし。すなわち、出来上がった新たな舞台に、いよいよ没頭していくような星回り。
子供の頃のことを思い出してほしい。
そこではまず最初に楽しい世界があったり、十分な遊び相手がいて、その後に遊びの楽しさがあった訳ではなかったはず。
むしろ、なんとなく弾みや思いつきで始めた些細な遊びに取り込まれ、はまりこんで夢中になり、完全にそれに舵を取られてしまったとき、はじめて遊びが遊びとして実現していったのではなかったでしょうか。
最初はほんの遊びのつもりでいたのに、いつのまにか遊びの世界に遊ばれていくと言ってもいいかもしれません。
同様に、いよいよしし座の季節が終わりを迎え23日(金)に太陽がおとめ座入りしていく今週のあなたは、すっかり「場が整った」ような心持ちを抱いていくことになっていきそうです。
「遊び」を表す欧米語(英語のplay、ドイツ語のSpiel、フランス語のjeuなど)は、「演技」や「演奏」といった意味も表わしますが、その意味で、今週のおうし座はさながら新たな舞台に立った役者のごとく、ようやく実現しつつある「遊び」の世界に本格的に参入していくことになるでしょう。
歌う小鳥のように
あえて言ってしまえば、「遊び」に没入するとは、小鳥が思いがけず鳴き始め、歌をうたうことに似ています。
それは、リズムが生まれる瞬間であり、宇宙も人生もそうした生きたリズムで成り立っているがゆえに、片時もとどまることなく流れ続けていくことができるのでしょう。
「暗闇に幼児がひとり、恐くても、小声でうたえば安心だ。子供は歌に導かれて歩き、立ちどまる。道に迷うことがあっても、なんとか自分で隠れ家を見つけ、おぼつかない歌を頼りにしてどうにか先に進んでいく」(ドュルーズ&ガタリ、『千のプラトー』)
歌うこと、遊ぶことがいかにそれをする当人に勇気を与えてくれるか、歩き続けるために必要か、今週は骨身に沁みて感じていくことができるはずです。
今週のキーワード
遊びの世界に遊ばれていく