おうし座
時間を止める
坐ればそこは菩提樹の下
今週のおうし座は、「胡坐してをればおのれも梅雨深し」(脇村禎徳)という句のごとし。あるいは、思考の揺れがなくなるまで、自身の視点に対する自信を深めていくような星回り。
ゴータマ・シッダールタは、彼の問いへの答えを伝統的な教師の中でいたずらに探しまわったのち、ついに菩提樹の下に座り、自分自身の戦いを自分なりのやり方で戦わねばならないと決意しました。
そうして、ついに悟りを開いた時にしていた、足の裏を仰向けにして両足を組んだ坐り方が結跏趺坐(けっかふざ)。
掲句の場合は、おそらくただの「胡坐(あぐら)」でしょうけれど、どこかそんな情景を思い起こさせるところがあります。
外では、ざあざあと音を立て、どこまでも降りしきるようにさえ思われる雨。ついそれら音の洪水に気を取られ、ああだろうか、こうだろうかと翻弄されてしまうところで、何気なく胡坐を組んだ。
ただそれだけのことで、作者は梅雨の深みに坐しているような気になったというのです。
さて、今週は17日(月)のいて座の満月から始まっていきますが、いて座はおうし座から数えて8番目の位置関係にあり、死や再誕生など、最も深いレベルのトランスフォーメーションを意味します。
それを踏まえるなら、今はあれもこれもと意識を散らすのではなく、できるだけ1つの対象に視点を定め、そこに意識が溶けて1つになっていくようイメージしていくといいでしょう。
「中央線」
「新宿を発ち吉祥寺へ向かうはずが、
気付くと神田に降り立っていたのは、
それが吉祥寺への近道だったからだ。
中央線ではしばしば起こること。」
(橋龍吾、『銀河飛行』)
今週のあなたに強いて何か言うなら、「でたらめを恐れない」ということでしょう。
それが「坐る=時間を止める」ということの本質なのですから。
今週のキーワード
あべこべ → 順序・位置・関係がひっくり返っていること。反対。さかさ。