おうし座
健全な自己喪失
全体に吸収されること
今週のおうし座は、「郷に入っては郷に従え」という諺のごとし。すなわち、特定の文化や習慣に吸収される代わりに、どっしりとした安定感を獲得していくような星回り。
ニヒリズムに徹するにしても、世の儚さや人生の無常を歌うにしても、まず何よりも体力がいるのだよ。
そして肉体を健やかにし、気力体力を養っていくには、人より劣った部分や隠し持っている弱い部分を補強し、支えてくれるものをどこからか得ていくことが肝要なのだ。
「個性」や「オリジナリティー」が声高に叫ばれるこのご時世に、「郷に入りては」などと言えば時代遅れな価値観の押し付けのように聞こえるかもしれない。
ですがこれはイデオロギーの話ではなく、実に現実的な話なのであって、どうしたら生き延びていける確率が高いか、という一点に尽きます。
私たちは個人である以前に、「全体」の一部である。
そしてもし「全体」がその一部に、全体が持つ運命とその大いなる意味に従わせることを望んだならば、その望み自体が個を支えるのだ。
今週が、自分に「従う」ことを望んでいる地域や文化などの何らかの全体性をなすものが何なのか、いかに貢献していけるかということが、大きなテーマとして浮上してきそうです。
でくのぼうになりたい
「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」で有名な宮沢賢治の詩には、賢治が自分のなりたい理想の姿として、一日に玄米四合と、味噌と少し野菜を食べて、丈夫な体を持っている「でくのぼう」が登場してきます。
「東に病気の子供あれば行って看病してやり、西に疲れた母あれば行ってその稲の束を負い、南に死にそうな人あれば行ってこわがらなくてもいいといい、北に喧嘩や訴訟があればつまらないからやめろといい」
と、まさにアンパンマンさながらのみんなのお友達。
若い頃は「決して怒らず」、「欲もなく」て、「いつも静かに笑っている」ような人なんか刺激がなくて何の魅力もないと感じがちですが、家を構えて暮らしを営むようになると話は変わってきます。
というのも、家の空気というのはやはり一緒に住む人で作られるから。「でくのぼう」のような人が家にひとりいるだけで、空気はずっと澄んだものになるのです。
それはすなわち、個人が全体の一部として、完全に溶け込んでいる姿なんですね。
今週は「あらゆることを、自分を勘定に入れずによく見聞きし、分かり、そして忘れず」にいるよう、どうか心がけてみてください。
今週のキーワード
体力がすべての基本