おうし座
誰がために我は咲く?
深山の桜
今週のおうし座は、「山神をすゞしむ桜咲きにけり」(高田蝶衣)という句のごとし。あるいは、誰のためにこの身を咲かせてゆくのか、改めて問い直していくような星回り。
「山神(やまづみ)」とは、山の霊であり山の神のこと。すると、この「桜」もふもとに咲くものではなく、人が踏み入ることのないような場所でひっそりと咲く深山の桜のことでしょう。
つまり、作者はここで人を和ませ楽しませる為でなく、神を鎮めるために咲いた桜の花について詠んでいるのです。
そういうものがあるのか、と思わず感心してしまいましたが、そもそも神事というのはそういうものでしたし、また神さまのための神社というものもこの世界にはあるのだと考えれば、なんら驚くようなことではないのかもしれません。
そして、そんな深山の桜の咲き姿は、5日(金)におうし座から数えて「自分だけの聖域」を意味する12番目のおひつじ座で新月を迎える今週のあなたにとって、まさに指針とすべきものとなるはず。
掲句の作者も祝詞の研究を行い、神社の神官として仕えていた時期があったようですが、今のあなたもまた自身の仕えるべき「神」について思いを巡らせてみるといいでしょう。
神を思うということ
「神」を思え、なんて言うと大袈裟かもしれませんが、それは例えば、スティーブ・ジョブスが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの中でも言われていることのように思います。
ジョブスはそこで、「たまらなく好きなものを見つけなければならない」と繰り返し語りました。
「何かを信じなければならない。直感、運命、人生、カルマ、その他何でも。この手法が私を裏切ったことは一度もなく、私の人生に大きな違いをもたらした」
「自分の心と直感以外はすべて二の次」であり、そして「点はあとになってつなぐことしかできない」
夜空の星座もまた、最初の1点が人の想像力によって打たれなければ、線がのび、像を結ぶこともなかったはずです。そして、やがて星座は死んで神と成った者たちの聖堂となっていきました。
つまり、自分の人生に打ち込まれた点と点との結びつきを見出していくこともまた、神を思うことに他ならないのです。今週はそんな風に、自分の人生の中に自分なりの神をどうか探してみてください。
今週のキーワード
聖堂としての星座