おうし座
動のなかの静を深める
インド音楽と西洋音楽
今週のおうし座は、インドのラーガ音楽のごとし。すなわち、仕事の成果だとか、分かりやすい基準で自分や人生を量ろうとするのではなく、もっと「無」ということへと自分を開いていくような星回り。
西洋音楽の基礎を築いたバッハやグレゴリア聖歌のように、西洋の芸術というのはひとつひとつの音や意味を片っ端から組織してしまおうとするところがあります。
その点、インドのラーガ音楽には異なった音を同時に重ね合わせるハーモニー(和音)という考え方がなく、何もない「無」からほわーんと音が浮かんできて、まるで多島海のようにひとつひとつが独立して、そこに置かれていく印象を受けます。
そうして音がどこかからか浮かびあがってきては、また沈み込むように消えていくんです。
普通の人は、意味や文脈を失うまいと、ひとつ残らず橋をかけてと繋げていくために、ますますエゴが強化され、煩悩が増し執着も深まっていくのですが、今のあなたはそれとは逆のベクトルへと、自らを促していこうとしているように思います。
つまり、自分の個性やキャリアや実績といったものを「無」の中に溶かしていくことで、これまで獲得したものを惜しげもなく削除しては、その行為を通して通常の‟橋”とは異なるもっと別の通路や回路を開いていくような。
今週は、目に見えるモノや確かな繋がりのもっと根元にあるものと繋がって、そこで循環していくイメージを大切にされてください。
生き生きと無に通じる
蛇が「死せる英雄」の象徴であるならば、牡牛は「生きた英雄」の象徴です。
牛の角は太陽の弓を示し、そうして光の矢を放つ牡牛は、自然のもたらす豊穣がそのまま形をとった生命体として古来より神聖視されてきました。
今週のあなたは、それを「財や豊かさの貯蓄や所有」という静的なやり方とは対照をなす、「出し惜しみない大盤振る舞い」というきわめて動的で仕方で改めて自らの存在を実感しようとしているのだと言えます。
積み重ねた実績も信頼も、すっかり空っぽにしてしまいしょう。
逆説的ではありますが、あなた自身が荒れ狂う闘牛となって、すべての力やエネルギーを見ている者たちへ向けて解き放つとき、あなたは新たな力を手に入れるはず。
今週のキーワード
牛から闘牛へ