おうし座
日常と憧れ
粋と野暮とを分けるもの
今週のおうし座は、「あめつちにわが残し行くあしあとのひとつづゝぞと歌を寂びしむ」(若山牧水)という歌のごとし。あるいは、抑えがたい心によって、人生が欲しているものを探し求めていくような星回り。
本来、旅というのは運命に促されるように、気が付いた時にはもう始まってしまっているもの。何らかの不足や別れを埋めるために、否が応でも始めざるを得ないものなのです。
作者自身はそうした心の働きを「あくがれ」と呼んだが、今のあなたには彼のようにどうしても憧れてしまうものが何かひとつでもあるだろうか。
作者にとって歌とは、やむにやまれぬ旅の足跡に他ならず、だからこそ寂しくかなしいものであり、おおくの人が心を動かされた。そう、憧れは必ずしも人を幸福にはしないかもしれないが、人をおおいに感動させるし、何といっても‟粋”に見せる。
逆に言えば、憧れを持たない人というのは、どんなに稼いでいようと、立派な地位についていようと、すべからく野暮なのだ。
今週は、自分の中の憧れに突き動かされるように人生が流れていくことを自分に許していくといいでしょう。
憧れを秘める
7世紀の役小角(えんのおづぬ)を開祖とし、山岳信仰に基づいて仏教をとりいれた修験道には、深山の奥深く、霊気の集まる洞(ほら)へと入って修行をし、呪力を身につけることで苦しみから、自分だけでなく民衆をも救済していくことができるという考え方があります。
もちろん、山には様々な化け物も棲んでいますから、それらを退けつつ、自らの煩悩を払い、清らかな心を取り戻していくことで、救済が可能になるとされた訳です。
今週のおうし座はいわば、普通の日常にとどまりながら心だけはその中へと入れることのできる山中の「洞」を見出し、そこに留まりながら、さりげなく日々を過ごしていくような、そんな胸のうちに憧れ(宗教心)を秘めた過ごし方のコツをつかむことがテーマとなっていきそうです。