さそり座
原始的な知性に頼る
粘菌の生存戦略
今週のさそり座は、賢い粘菌のごとし。あるいは、人間的なプライドはどこかに捨てて、代わりに「原始的な知性」を発揮していくような星回り。
長年にわたって粘菌を研究している北海道大学の中垣俊之氏は、粘菌の生態から人間を振り返り、「私たちはあまりにも物事を中央司令的にコントロールしようとし過ぎているのではないか?」という問いを提示しています。
確かに私たちは、常に主体的に「何かをしなくちゃいけない」という強迫観念を持ちがちです。
しかし、何かしら改善をしようとしてシステムや勝ちパターンを手に入れると、それまでの良かったものが一緒に壊れてしまって、結局よくなったのか悪くなったのか分からないという事態に、私たちはこれまでも遭遇してきているのではないでしょうか。
精神的にも経済的にも、他者へ依存し融合することをテーマに持っているさそり座のあなたにとって、この中垣氏の指摘は特に重要な意味を持つように思います。
つまり、「依存した方が弱くて、ダメな奴で、依存された方が強くて、偉い」という発想は人間的なもので、粘菌は一度くっついたものはどこを切っても同じ粘菌であり、その中でどこが偉いだとか弱いだなんて発想は、一切持たない。
そうした“非人間的発想”によって、どんな苛酷な環境でも生き延びてきたのが粘菌なのです。今週はそんな粘菌から大いにヒントを得ていくことができるはず。
生き残るためのネットワーク術
中垣氏は「粘菌には迷路の最短経路を解く能力がある」という研究で、2010年度のイグ・ノーベル賞も受賞されています。
これは2つのエサ場を粘菌がどのようにネットワークで繋ぐかという実験の結果を通して判明したことなのだそうです。
驚くべきことに粘菌の作り出すネットワークには、
①最短性(できるだけ無駄をなくす
②保険(断線に対する耐性
③連絡効率(必要なことを必要なときに伝える)
という3つの性質をバランスよく満たすことが分かってきたそうです。
つまり、そういうネットワークの構築の仕方をしてさえいれば死なないということが、よく分かっている。依存であれ何であれ、そうした観点からいまの自分のネットワークがどうなっているかを見直してみるのもいいでしょう。
今週のキーワード
粘菌は単純だけど賢い