さそり座
できるだけ何もしない
夢の民主化現象
今週のさそり座は、互いの夢を共有しあう中世の人びとのごとし。あるいは、直感力が高まって、おのずから占い師化していくような星回り。
精神科医の新宮一成は『メディアと無意識ー「夢語りの場」の探求ー』のなかで、災害や疫病、飢饉などが多発していた中世日本社会においては、人びとが自分の見た夢を他者と共有したり、言及しあう情報空間が構築されていたのだと述べています。
古代の「夢見る王」とちがって、中世ではこのような大切な夢のメッセージを受信したのが西京の住人と伝えられているだけで、いったいどこの誰なのかわからないことが多い。とりたてて特別な存在というわけではない、まったくただの人がこのように重要な情報を受信する主体となっている。
中世では誰もが夢を見ることができた。それも、疫神や賀茂大明神のような絶大な力をもつものからのメッセージが、ただの西京の住人や仁和寺あたりの女の夢として受信される。夢を見ることが特権的な王によって独占されていた古代からみれば、「夢の民主化」とでもいえそうな現象が、中世では起きている。
これはあくまで1つの仮説なのですが、社会不安が強まってくる時というのは、自然と占い師が増えるというより、誰しもが占い師的な側面を持つようになったり、占い師的な行為をするようになるのではないでしょうか。
6月18日にさそり座から数えて「オカルト」を意味する8番目のふたご座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、現代における「夢の民主化」の一端を担うような受信を自分でも気付かないところで行っていくのかも知れません。
脱・コントロール
若年性アルツハイマー型認知症の当事者である丹野智文さんは、あるインタビューのなかで、障がい者はしばしば健常者のおもう「正義」や「やさしさ」を実現するための道具となってしまう傾向があるということを指摘しています。
助けてって言ってないのに助ける人が多いから、イライラするんじゃないかな。家族の会に行っても、家族が当事者のお弁当を持ってきてあげて、ふたを開けてあげて、割り箸を割って、はい食べなさい、というのが当たり前だからね。(…)ずっとこれをやられたら、本人はどんどんできなくなっちゃう。(『「利他」とは何か』)
だから丹羽さんは「それ、おかしくない?」「本人の自立を奪ってない?」ということを言い続けるのだとも話しているのですが、こうした周りの人のやさしさが当事者を知らず知らずのうちに追い込んでいくというケースは、実際あまりにも当たり前に起きているために、これまでそのおかしさに対する指摘自体が行われてこなかったように思います。
先のインタビュアーである伊藤亜紗は、「ここに圧倒的に欠けているのは、他者に対する信頼」であるとも補足しているのですが、今週のさそり座にとっても、相手の力を信じ、任せられるか、ということがテーマになっていきそうです。
さそり座の今週のキーワード
ピンと来たからといって、そのまま伝えない、先回りもしすぎない