さそり座
命を研ぎ澄ます
こちらは6月21日週の占いです。6月28日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
底ぢから
今週のさそり座は、「月下美人あしたに伏して命あり」(阿部みどり女)という句のごとし。あるいは、底知れぬしぶとさや命の脈動を自身の内部に感じ取っていくような星回り。
月下美人は夜に咲く純白の大花。その開花した姿は、息をのむような独特の美しさがあります。
花を開いた月下美人は、しかし「あした(朝)」の訪れとともに、がくりと首を折るようにしてうなだれてしまう。普通であればそこには哀れを見出す訳ですが、当時90歳前後と高齢の作者はむしろそうした外見上のはかなさよりも、それでもなお根底で脈打つ「命」の鼓動に静かな感動を覚えたのでしょう。
「立てば芍薬、座れば牡丹」などと言うように、女性を花に例える言葉がすぐに思い浮かんできますが、ここで作者はそうしたある意味で月並な構図に留まっていません。
男でも女でもなく、ひとつの生命としてのしぶとさや、たえず形を変えて生き続ける在り様にこそまなざしを重ねているのです。
そして25日にさそり座から数えて「生き返り」を意味する3番目のやぎ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、そんな作者のまなざしを借りて、ひとつの月下美人として自身を意識してみるといいでしょう。
根源的な残酷さを取り戻す
もう何年ものあいだ、石ころ一つ蹴っ飛ばしたことのない小市民的な現代人は、例えばあの頭蓋骨大のボールを相手のホームめがけて押しこんでやろうと、みんなして駆けだしていったフットボールの原風景や、そこに立っていた戦士たちのマインドとグローバル資本主義社会に生きている自分たちのマインドと地続きになっていることについて、知らぬ存ぜぬを決め込んでいるのだと言えます。
ただ、人間の祈りや、情愛を細やかに表現する手の使用を禁止されたフットボールの世界では、戦士たちに与えられる選択肢は、本来次の二つでした。
勝つためのルーティンをみずから創り出していくか、でなければ、マンネリ化して立ち往生するか(思考や行動・表現などが型にはまって変化がなく、独創性や新鮮さに欠けていく)のどちらかしかないのです。
美しさの裏には、必ずどこかに冷徹なまでの残酷さが隠れている。今週のさそり座は、改めてそんなことを思い出していくべし。
さそり座の今週のキーワード
生き延びることに躊躇はいらない