さそり座
ギリギリとアハ
限界芸術
今週のさそり座の星回りは、「ぎりぎり」の演出。あるいは、みずから臨界点への到達を促していこうとするような星回り。
「ぎりぎり」という擬音語は、事態が行き着くところまで行き着いた際の切迫感やぬきさしならない気配、臨界点へと近づいていく崩壊寸前の悲鳴、その際のつのる焦燥感や不安などを伝える言葉ですが、もともとはぎりぎりと錐揉みする音から来ているのだそうです。
固いものが互いにこすれ合い、じかにぶかって軋み、やがて亀裂が入って、そこからいくつかに分かれ、次第に粉々になって砕けていく。そんなプロセスをなまなましく伝える「ぎりぎり」という語には、一方でその危うさによって人を誘惑するという面もあります。
人間に置き換えても、人をもっとも強く誘惑し、注意を集めてしまうのも、臨界点のすぐそばにいる「ぎりぎり」の人なのです。
例えば、イッセイミヤケやヨウジヤマモトやコムデギャルソンといった、服が服でなくなるギリギリのところで服をつくってきたデザイナーたちの前衛性もまた、どうしたら人間を「ぎりぎり」に置いていけるかという、演出上の試みの鮮やかさにあったはずです。
15日にさそり座から数えて「身体的な演出」を意味する2番目のいて座で今年最後の新月を迎えていくあなたもまた、中心と周縁という座標軸の外側へとはみだしていく際のぎりぎり感を身近なところから感じていくことがテーマとなっていくでしょう。
緊張と弛緩を織り交ぜる
しばらく解答の分からないウズウズしていた状態から、「ああ、そうか!」というひらめきの快感と弛緩が訪れることを「アハ体験」と言います。
よく知られた実験では、自分の頭の中に腫瘍があるとして、それを取り除く方法について思いついたことをすべて口に出し続けてもらう、ということをします。そして発言に対してその都度、「それだとこういうリスクがあるのでは?」と切り返して、真剣に考えてもらう。要はウズウズ状態を作り出す訳ですね。
すると、多くの被験者において、論理を飛躍して突然、「外からレーザーを一点に集中させて取り除く」といった結論(現在の最先端の医療技術の発想と重なるもの)を思いつくことがあるのだそうです。大抵はなぜそんな結論が出てきたのかは分からない。けれどひらめきとは、そうした通常の思考の流れを一足飛びに超えるところからしか生まれてこないものです。
今週は、もしどこかでウズウズできそうな問題やきっかけがやってきたら、積極的にそこにハマり込んでみるのもいいかも知れません。
今週のキーワード
アンチ・ずるずる