さそり座
縁マンダラ
蝋燭の画家
今週のさそり座は、高島野十郎の描いた蝋燭の絵のごとし。あるいは、誰かとの縁や繋がりのなかに一瞬の煌めきを見出していくような星回り。
高島野十郎という、生涯にわたって蝋燭の絵を描き続けた画家がいます。一度、個展を見に行った際、数十枚もの小品の蝋燭の絵がずらりと並んでいる光景はなんとも異様でした。
蝋燭の火は確かに明るい色彩で描かれているのですが、その焔の下部には必ず深い瑠璃色が使われており、それはちらつく焔に呼応するように広がった闇の色そのものでした。
高島はこうした蝋燭の絵を、展覧会などに出展する作品としてではなく、いわんや売るためでもなく、身近な者へ直接手渡すための贈呈品として描き続けたのだと言います。
まるで献灯の儀式のような宗教的な行為ですが、高島はきわめて小さな画面のなかに、永遠に果てることのない光を刻み込み、自身の思いをそこに凝集させました。その意味で、蝋燭の絵は高島と贈られた者との濃密な関係性を媒介する<縁>そのものだったのでしょう。
27日に「自分自身の在り方」を表すさそり座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、誰かとの縁や繋がりを通して、みずからの生きがいを再認識していくことができるかも知れません。
コインの表裏
もしかしたら、今週はあなたがこれまでに結んできたネットワークの一部が自然と切れていくかも知れません。
あるいは、あなたが自分から断ち切ろうとすることもあるでしょう。いずれにせよ、縁切りと縁結びはコインの裏表であり、その相互作用(無縁の原理)の働きこそ、今週あなたが見つめていかなければならないものなのだと言えるでしょう。
もしあなたがここで縁のほつれや切断を自然に受け入れることできたなら、それは一方で、縁の中にはどうしても切れないものがあるということの深い実感にも繋がっていくはず。
結んではほつれ、まとわりついて離れないかと思うと、ひらりと落ちて、周囲に新たな絡まりが生じる。そんな<縁>と言うことの不思議を通して、改めて自分らしい人生とは何かということを思い出していきたいところ。
今週のキーワード
中心へのこだわりを捨てる