さそり座
力の源となるもの
トランスの間の旅
今週のさそり座は、縄文時代中期の力強い「蛇神(じゃしん)装飾土器」のごとし。あるいは、自らの生活や心の支えとなるものを足もとから見つめ直していくような星回り。
おもに信州や甲州などの山岳地帯から多く出土する、取っ手の部分を一目でマムシと分かる三角の頭をもった蛇の身体でつくった、リアルで日本人離れした造形の縄文土器。これは蛇に憑かれた人間たちが、日本列島の一部にかつて確かに存在し、集団現象をうむに至っていたことの紛れもない証拠物と言えます。
人間と蛇との関係は人類の起源とともに古く、蛇の中でも毒性の強いマムシの魔性は、人々をしてマムシを山の神ないし神の使いとして崇めさせるに足り、特に聖なる狂気を宿すシャーマンと繋がりがあるものとして畏敬されてきました。ここで国分直一氏の報告にある興味深い示唆を引用しておきたい。
「ヘビ、特に毒蛇は不思議な力を持つとみられている。シャーマンがトランス(催眠状態)の間の旅を通して、地下のヘビに力をもらいうけて帰ってくるという例がある。台湾南部山地のパイワン族が、その持物に猛毒のヘビを彫刻することは、よく知られている」
この「ヘビに力をもらいうける」という発想は、おそらく蛇神装飾土器が大量に作られた理由と同一でしょう。
3月22日に試練と課題の星である土星が、さそり座から数えて「存在の基盤」を意味する4番目のみずがめ座に入っていくあなたもまた、自分の生きる地平を他でもない、自分の手で確保していくために必要な手続きや守護を求めていくことになりそうです。
「変態」を遂げていくこと
さそり座にとって、変態は人生で定期的にやってくる行事のようなものでありますが、今回はむかいのおうし座にある天王星の影響もあり、環境が用意してくれた変化の波にいつの間にかさらわれるというより、"自分から”変わっていかねばならないという側面がより強調されているように思います。
変態はとても複雑なプロセスではありますが、ここでは幼虫と成虫とでは、食べるもの=エネルギー源がまったく異なるという点に注目しておくといいでしょう。イモムシが植物の葉を食べ、蝶は花の蜜を食べるように、心や体を喜ばせるために摂取するものをこれまでと大幅に変えていくためには、変態は大きな助力となるのです。
そういう意味で、今週はもしかしたら魂が震えるような言葉や喜びとの出会いがあるかも知れませんし、初めはそこまでインパクトのなかった体験が、何度も反芻されていくうちに後からジワジワ効いてきて、あなたを変態へと導いていくといったこともあるかも知れません。いずれにせよ、大切なのはあなたの「変わりたい」という意志の強さです。
今週のキーワード
生と死をまたぐ