さそり座
未知の深い闇
「入り込んでいく」感覚
今週のさそり座は、「西之島」を調査する生物学の研究者のごとし。あるいは、未知の場所に惹かれる本能に素直に従っていくような星回り。
小笠原諸島にある西之島は、2013年に海底火山が噴火して島のほとんどが溶岩に呑み込まれてしまったそうですが、その旧島に接岸する形で新しい島が形成されたのだとか。
植物すらまだ根付いていないような原初の地球を思わせるその土地に、今後いったいどんな生物がいかに進出してくるのかを研究すれば、生物相がどんなふうに成立してきたか、そのヒントが得られるとのことで、生物学の研究者などはその過酷な環境にもめげず、フィールドワークに忙しいそうです(現在はゴキブリが大量発生しているとの情報あり)。
なんとも人間の奥底にある未知を求める願望をくすぐる話ではありますが、中でも未知が自分の内側に入り込んできたり、逆に入り込んでいったりする感覚に貪欲なさそり座の人たちにとっては、いま日本近郊で特に興味深い場所のひとつと言えるのではないでしょうか。
16日(日)に「この世界への向き合い方」を意味する自分自身の位置=さそり座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、合理性を超えたところにある未知に鼻をきかせ、追い求めていきたいところです。
闇路に闇路を踏みそえて
「ひとのいのちの道のなかばで、 正しい道をふみまよい、 はたと気付くと、漆黒の森の中だった。」
これはダンテの『神曲-地獄篇』の冒頭。「道半ば」というのが具体的に何歳くらいのことを指しているのか定かではありませんが、人は折に触れて見知っているはずの日常世界から外れていくことがあるものです。
ちょうど『神曲』を執筆した当時のダンテも、政治抗争で敗れ故郷フィレンツェを追われた孤立無援状態で、まさにお先真っ暗の未知の世界に突如放り投げられたような心地だったでしょう。
ただ、彼の場合そこで自暴自棄になることなく、おのが半生を振り返りつつ文学史上に不朽の名声を轟かす畢生の大作の執筆を始めたのですから、人生何がどう転ぶのかは最後まで分からないもの。
今週のあなたも、そんな人生の岐路にふと差し掛かるかも知れませんが、くれぐれも腐らず、暗い胸の闇路をとことん辿ってやるくらいのつもりで行くといいでしょう。
今週のキーワード
六趣輪廻の因縁は、己が愚痴の闇路なり。