さそり座
回る運命、踊る妖怪
運命は不気味に笑う
今週のさそり座は、「出刃を呑むぞと鮟鱇は笑ひけり」(阿波野青畝)という句のごとし。あるいは、自分の意思を超えたところで運命が動いていくような星回り。
まるで百鬼夜行の一群から、ぬっと抜け出てきたかのような鮟鱇(あんこう)である。それも出刃(包丁)を呑んでやるぞと凄みながら、あの不気味なほどに大きな口で笑ったのだ。
中世の貴族たちは、百鬼夜行に出遭うと死んでしまうといわれていたため、これらの日に夜の外出を控えたといわれていたそうだが、私たちは単にそれらが見えなくなってしまっただけではないのか。
彼らとは、すなわち死の気配であり、かつては運命そのものだった。
25日(土)にさそり座から数えて「ひとつの終わり」を意味する4番目のみずがめ座で新月を迎えていく今週は、現代人がすっかり失ってしまった運命の感覚をひとりそっと思い出していくことになるかも知れない。
予感と裏付け
SF作家アーサー・C・クラークが『地球幼年期の終わり』で描いてみせたように、個人の人生でであれ地球の歴史であれ、事実としては「幼年期」というものはある日突然に終わってしまうものだが、少なくともその予感は与えられている。ただその雲をつかむような予感の裏付けがないだけなのだ。
今週のあなたもまた、すでに予感を与えられている“終わり”に対し、何らかの裏付けを得ていくことで、きちんと終わらしていくことになるかも知れない。
そしてそれはいわば「幼年期」から次の時期への移行をもたらていくはずだ。
今週のキーワード
ファーストコンタクト