さそり座
条件付きの関係から一歩踏み出す
口寄の作法
今週のさそり座は、口寄(くちよせ)と呼ばれた巫女の一種のごとし。あるいは、ただ、自分の口から出てゆく言葉の赴くままに従っていくような星回り。
柳田國男の「巫女考」によれば、古来より日本ではミコと称する女性には2種類ある。
名のある比較的大きな神社に付属して、その旧境内に居住して神事に関与する者と区別して、どこの村の住民であるか分からないか、もしくは遠方から来る旅行者で、依頼に応じて「近づくべからざる神または人」の託宣託言の仲介を生業とする女性を「口寄」と呼んだのだそう。
もちろん、現実には神がこの者に降ることは極めてまれで、大抵の場合、寄る者は主として生霊か死霊、すなわち生きている人または死んだ人間ばかりだったようです。
しかし、そうしてアウェイに身を置き、現実的・心理的な防衛を取り払った状態で普通ではない繋がりを呼び込んで、言葉を通して交わってきた「口寄」たちの姿は、どこか今週のさそり座とも重なっていくように思います。
すなわち、ギブ&テイクを基本とした条件付きの結びつきの領域から一歩踏み出して、余計な思案など入り込む余地のないような自己放棄と、その結果としての自我が消えて融けてしまうような純粋な結びつきへと近づいていこうとすること。
それこそが今週あなたが向き合っていくべきテーマなのだと言えます。
世俗の言葉はいらない
コミュニケーションには、話をしている者同士が存在してくる背景やその抒情性こそが問われていくような場合もあるものですが、今週のあなたにとってはおそらくこの傾向に偏っていくはず。
そしてそれは「同じ話をするのでもこの場所ですればより効果的!」などといったような、分かりやすい効果を狙ったテクニックや、くだらない駆け引きのためにシチュエーションを利用せよ、といった話とは対極のもの。
そうした「私」の背後に隠れた「背景」にこそ語ってもらっていくことで、互いの関係性の中に言葉にはできないような特有の雰囲気が取りこまれていき、その結果としてムードが出来上がっていくのです。
今週はそうした無言のプロセスを味わいつつも、人と人とが縁や絆を結んでいくことのリアリティーを存分に感じていくといいでしょう。
今週のキーワード
普通ではない結びつきを求めて