さそり座
「如」の一字としてある
自己価値としての「empathy」
今週のさそり座の星回りは、「己れに如かざる者を友とすること無かれ」という論語の一節のごとし。あるいは、自分の価値をよくよく思い出し、そこに集中していこうとするような星回り。
この一節はしばしば「自分に及ばない人を友にして付き合ってはいけない」と訳されますが、「如かざる」を「及ばない」とか「劣った」という意味にとってしまうと、どうも功利主義的で孔子らしくありません。
白川静さんの『漢用字解』で「如」を引くと、もともとこの漢字は祝詞を唱えている巫女の姿を表したもので、神意を問いそれに近づくことを「如く」と言うのだそうです。
つまり、「如かざる」とは「(巫女が神に対してするように)一体化することのできない」という意味であり、「sympathy(自分の感情が主体の共感)」ではなく「empathy(相手の感情が主体の共感)」に近い言葉なんですね。
そして、さそり座の人たちにとっての「価値」もまた、この意味での「共感(empathy)」にこそあり、さそり座にとって「自分らしくある」とは、「巫女らしくある」ことを意味します。
華やかで拡張的な中秋の名月を過ぎ、22日(日)の下弦の月へ向けて徐々に自覚が促されていく今週は、そんな本来のあなたらしい姿勢や関係性へとシフトしていくことになりそうです。
ラプンツェルの渇望
ディズニーアニメの『塔の上のラプンツェル』を見たことはあるでしょうか?
その見どころは、何といっても少女と「毒親」との関係性にあります。
養母として、主人公である金髪の少女ラプンツェルを塔の中に閉じ込めて育ててきた魔女ゴーデルは、子供の話を聞かない親の典型的な過干渉であり、目に見える形だけでなく目に見えない面でもラプンツェルを監禁していた訳です。
そして何より、ゴーデルには目的がありました。ラプンツェルの髪の毛には、触れる者の時間を戻して傷を治す不思議な力があり、ゴーデルはその力を利用して自らの若さを保ってきた。
つまり条件付きの愛で、ラプンツェルを搾取していたのです。ただ、ここで忘れてはいけないのは、ゴーデル=毒親は特別な悪などではなく、どこにでもいる加害者であると同時に被害者でもあるのだということ。
今週のさそり座のあなたは、ラプンツェルがそうであったように、常識的で有益なアドバイスよりも、どうしようもない自分の気持ち(飢えや渇き)をただそっと受け止めてくれる感触を自然と求めていくことでしょう。
それは、あなたが心から安心できる居場所や繋がりを、本気で求め始めている兆候なのです。
今週のキーワード
巫女の心得